文字盤を直接見る必要がないから、視覚に障害がある人にも問題なく扱える。アメリカではスティーヴィー・ワンダーが愛用する時計として知名度を確立している。だが一方で、日本ではあまり知られていない。
そのBradley Timepieceが、日本での普及に向けて本格的に動き出した。
・時間に直接触れる
視覚障害者用腕時計は、すでに存在する。だがそれが音声読み上げ式の製品だった場合、日常では煩わしく感じる場面が多々出てくるという。たとえばそこが会議室だったら、むやみやたらに音声を鳴らすわけにもいかない。
また、風防を開けて指で直接針を触るタイプの製品にも問題がある。「風防を開ける」というワンステップがあるし、針は決して丈夫なものではないからだ。
だがBradley Timepieceなら、そうした問題とは無縁だ。この腕時計にあるのは、ふたつのボール。側面のボールは時間を表し、文字盤のボールは分を表す。点字が理解できない人でも現在時刻を把握することができる設計だ。また、この構造により生活防水機能を獲得している。
もともとこの製品は、視覚障害を持つ開発者の友人が音声読み上げ式時計を使いあぐねていたことがきっかけで設計されたという。
そんなBradley Timepieceはこの度、日本限定モデルをクラウドファンディング「Readyfor」で発表した。ブラインドサッカー日本代表の加藤健人選手とコラボした製品だ。このモデルは、「BRADLEY X KATOKEN」という名が付けられた。
ブラインドサッカーとは、視覚の要素を一切省いた競技だ。転がすと音の鳴るボールを使用する。選手はそれを追いかけるわけだが、じつはボールが見えているのではないかと思わせるような見事なプレーがブラインドサッカーでは連発する。
2020年の東京パラリンピックを控えた中、それに携わる選手とともにBradley Timepieceのようなバリアフリー製品が注目されつつあるようだ。
・障害の有無に関わらず
Bradleyは、カスタマーを視覚障害者のみに限定していない。むしろカスタマーの大半が健常者だという。
Readyforでのプロジェクトにも、全国から出資者が相次いでいる。当初の目標金額は100万円だったが、期限残り39日の段階で130万円以上の出資を集めた。
Bradleyが注目されている最大の理由は、やはりその洗練されたデザイン性だ。「視覚障害者はデザインのことなど気にしない」というのは大きな誤解で、開発者がプロトタイプを作った時もそうした指摘が相次いだという。
Readyfor