その突破口となるサービスが、クラウド型人材分析ツール「HRアナリスト」だ。事前アンケートから、個々の行動原理や思考パターンを分析し、応募者ごとにカスタマイズされた採用を実現するというもの。アンケート依頼から分析結果の閲覧まで一気通貫に行うため、余計な労力や時間をかけず、欲しい人材に近づくことができる。
8月から、オープンベータ版の提供を開始。各企業の反響を受けて、10月には海外版もリリースされた。提供元は、昨年創業のシングラー。代表取締役CEOの熊谷 豪(くまがい ごう) 氏に、詳しい話を聞いた。
・採りたい人材の採用率が上がる
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
元々私自身が企業の取締役、人事、採用コンサルなどを経験しており、三角(広報)はモバイル広告のシステムを開発していたことから、2人の強みを生せる事業を考えました。その結果、人事の課題を解決するITサービスを作ることとなったのです。
特に、採用におけるアトラクト(惹き付け)を改良すれば、世の中の人事採用の課題も、大きく改善されると思いました。それが、「HRアナリスト」開発のきっかけです。
Q2:「HRアナリスト」とは、どんなサービスなのでしょうか。改めて教えてください。
「HRアナリスト」は、採用におけるデータを活用したサービスです。特定の人物を獲得する採用戦術から、面接官の相性まで、人間関係という無形資産を生産性へと転換させる、さまざまな人事的短期戦略を提供します。
Q3:実際にサービスを利用したユーザーからの反響は、いかがなものでしょうか。具体的な事例がありましたら、教えてください。
テスト導入時より、ご利用いただいている食品会社から、「経験の浅い採用担当者でも、例年以上の採用パフォーマンスが出ている」という声を頂戴しております。(中略)同社の新卒採用は今期から、会うべき人にピンポイントで会い、確実に口説くという方針に変わったため、そのキーとなるサービスとして、「HRアナリスト」を活用してもらいました。(中略)その結果、接触する応募者を30名まで絞り、採りたい6名に対して5名を、確実に採用することができたのです。
・日本語版と海外版での差異はなし
Q4:今月から新たに、英語版もリリースされました。日本版との違いは、どこにあるのでしょうか。また、海外版製作に当たって苦労した点は、どんなところでしょうか。
違いは、特にありません。むしろ、ないことが重要となっています。違いをなくすことで、日本の人材と海外現地人材を、同じ軸で分析できます。面接における言語の壁や、細かな言葉のニュアンス、文化の違いによって起きる、誤ったコミュニケーションの防止にも役立ちます。日本語の微妙なニュアンスを、英語で表現するために、専門家からのアドバイスを仰ぎながら開発したので、そこは苦労しました。
Q5:サービスの今後の展開について、教えてください。
幅広い人間関係という無形資産を、生産性へと転換させる人事的短期戦略を、個人・チーム・部署・組織単位で提供していくつもりです。
英語版では、応募者が英語で受検。人事担当者は、日本語で結果を出力できるので、言語に対する不安もない。海外支社の現地採用でも、大いに活用できそうだ。新時代の採用手段として、どう成長していくのか。今後の展開に、期待したい。
(取材・文 乾 雅美)
HRアナリスト