この独特の触覚、ハプティックフィードバック(Haptic Feedback)を実現するのが、Appleのタプティックエンジン(Taptic Engine)。この技術自体は決して排除されたわけではいが、代替技術が採用される日が来るかもしれない。
10月19日に米国特許商標庁によって発行された文書からは、Appleが開発の、磁気アレイを利用して触覚を再現するシステムが、仮想キーボードやトラックパッドなど、さまざまなデバイスで活用可能なことが伺える。技術の詳細について見ていこう。
・iPhone Xではまだまだ3D Touchが現役
Taptic Engineは、今のところ疑似的な触覚を得るための最高のソリューションで、まだまだ発展が期待されている。実際、この技術を利用した3D Touch(iPhone 6s以降で、アプリのアイコンを指で押し込むと機能ショートカットを表示し、ブルッという振動が返ってくるあれだ)については、iPhone Xにも搭載されているようだ。
ただ、Taptic Engineについては、ある程度場所を取るなどの欠点がないわけではなく、これに替わる技術も模索されている。今回示された技術は、スクリーン、カバーガラスからディスプレイ内部の保護層に、磁気素子アレイを配置し、これが触覚を生成するものだ。
ユーザーがカバーガラスを押すなどして力が加わると、2つの素子が接近して電磁気回路を形成。状況によって引力または反発力を生成する。
電磁気素子に電流が供給される際に触覚を生じるのだが、電流の量の制御によって触覚的な変化を再現できるとのこと。ディスプレイ上に表示するキーに隆起を作ることもできるし、クリック感を出すことも可能だ。
・デバイスの結合や落下時の損傷防止にも
文書には、触覚の生成以外にもさまざまな活用方法が示されている。例えば、電磁気を発生させることにより、iPad ProとApple Pencilのような、2つのデバイスを検出して一時的にくっつけることができる。
物理的な磁石による永続的な磁気では、電子機器故障の原因にもなり、フレキシブルな磁気によって、デバイスをくっつけたり離したりできることはなにかと使い道が想定できる。
他には、保護ケースにこの技術を採用し、落下した際の損傷を防止する例が示されている。加速度計、ジャイロスコープなどのセンサーまたは磁気素子自体が急速な動きを検出すると、電磁石がオンになり、保護ケースを側面や角に引き寄せる。これにより、クラッシュを制御し損傷を和らげるとのこと。
Appleでは、新技術を開発、買収しても実装に至らないことはよくあるはなし。今回ご紹介したの技術に関しても必ずしも将来実装されるとは限らないが、活用範囲の広さによるメリットは大きく、今後出てくるプロダクトに注目したい。
参照元:Apple investigating advanced 3D Touch technology with integrated feedback/AppleInsider