今年1月にラスベガスで開催されたCES2017では、ドライバーと会話する車「TOYOTA Concept-愛i」が発表され、この10月25日から開催の東京モーターショー2017では、この車に加え、都市モビリティを重視した「TOYOTA Concept-愛i RIDE」がお目見えする。
トヨタが「TOYOTA Concept-愛i」シリーズで提供しようとする価値とはどんなものだろうか。
・AI技術では自動車業界をけん引
AI開発競争では周回遅れを指摘される日本だが、自動運転技術の開発に関しては、自動車販売で高い世界シェアを持つトヨタが、走行データ収集においての優位性があるといわれる。
ちなみに、2016年の新車販売台数を見てみると、時価総額で業界トップのトヨタが約1017万5000台、時価総額6位のテスラは約7万6000台となっている。
さらにトヨタは、Preferred Networks(PFN)やNVIDIAなど、機械学習の研究・開発で世界レベルの企業との連携も深め、自動運転技術の開発を加速する姿勢だ。
・光の演出で車に愛着を
一方、「TOYOTA Concept-愛i」で前面に出されたのは、高度な自動運転ではなく(「TOYOTA Concept-愛i」にはしっかりとハンドルが備わっている)、ドライビングエクスペリエンスの向上という、よりユーザーに伝わりやすいものだ。
「TOYOTA Concept-愛i」では、ヘッドライトがウインクしたり、インストルメントパネル中央のエージェントが会話に合わせて揺れ動いたりと、光の演出がふんだんに使われ、車に知性が宿っているのを感じさせる。
ダッシュボードから車体外装に至るまでの、余計なものを排したシームレスなデザインも、未来的であると同時に光の演出を強調するものだろう。
・AIエージェント「Yui」はドライバーの嗜好や習慣を理解
「TOYOTA Concept-愛i」最大のウリは、ドライバーと会話するAIエージェントの「Yui」が搭載されている点だろう。Yuiは声や表情からドライバーの覚醒状態、感情を推定して安全な運転に導くほか、運転パターンやスケジュール、嗜好や習慣なども理解して話しかける。
単に安全、快適を提供するだけでなく、ドライバーに寄り添い、機転の利いたアシストを提供することこそが、ドライビングエクスペリエンス向上のカギとなる。
トヨタは走行テストを2020年に開始する予定で、近い将来、公道でウインクする「TOYOTA Concept-愛i」にお目にかかれるかもしれない。
参照元:Toyota Says They Will Have Intelligent Talking Cars by 2020/Futurism