その中から今回は、オプテックス社の製品にスポットを当てたい。同社が開発したワイヤレス在室検知センサー・スイッチには、光や押す力で発電するエナジーハーベスト技術を搭載。配線や電池交換は不要。設置場所の制約もなく、オフィス内のさまざまな場所で使用可能だ。
注目すべきは、何と言ってもその外観。本年度グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュなルックスも、本品を語る上で欠かせない要素となっている。
取材に応じてくれたのは、IoS事業開発部の河相 長流(かわい ながる)氏。製品開発の経緯から今後の展望まで、じっくりと語ってもらった。
・長年培ってきたセンシング技術を生かし、開発
Q1:まずは、このような製品を開発したきっかけから、お聞かせください。
弊社は長年、防犯、自動ドア、産業分野等に特化したセンサーを開発・製造してきました。(将来は)IoTによって世の中の仕組みが変わり、新たなソリューションや、ビジネスの変化が起きると予測し、4年前から製品開発に取り組み始めたのです。
その第一弾製品が、在室検知センサーとロッカースイッチです。新たな市場としてIoT化が進むビルオートメーション市場で、弊社が長年培ってきたセンシング技術が生かせると考え、製品化に至りました。
Q2:本品は、どのような場面で活躍しているのでしょうか。実際の導入事例を、お聞かせください。
代表的な活用例は、センサー検知で自動的に照明・空調をオンにし、センサー非検知によって、自動的にオフするという照明・空調制御です。
無線式(ワイヤレス)なので、有線式よりも施工コストを大幅に削減できますし、フリーレイアウト、メンテナンスフリーを実現します。最近では、予約された会議室が利用中かどうかを把握する目的で、在室検知センサーが使われています。
・滑らかな質感と心地よいクリック感を実現
Q3:グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュな外観。デザインには当初から、こだわりがあったのでしょうか?
センサー機器の検出精度が満足できないと、ユーザーに提供するサービス品質を低下させてしまいます。弊社では、センサーを利用したいシーンにおける最適なセンシングアルゴリズムや、設置環境・設置場所の構造などを把握した上で、信頼性の高いセンサー機器として、世に出すことをモットーしています。
在室検知センサー・スイッチは、ビルオートメーション向けとしては後発ですが、この考え方をコア思想とし、そこに外観の洗練性を加えました。
スイッチは利用者のインターフェースとなるため、利用者に快適な感覚を提供する必要があります。そこで、無意識に押すという行為を認知できるよう、大きくカーブした全面スイッチを採用しました。また、利用者がスイッチを押す際の違和感をなくすため、滑らかな質感と心地よいクリック感を重視しています。そうした工夫で、従来のスイッチと差別化しています。
Q4:これからも、IoT関連の商品は開発されていくのでしょうか。今後の展開について、教えてください。
IoT市場が拡大する中で、多様なセンサー需要が増加すると予想しております。今後も、新たなサービスやソリューションで、お役に立てるセンサーを開発していく所存です。
挙げてもらった事例の他、フリースペースのマネジメントや、トイレの使用状況管理など、さまざまなシーンでの活用が見込まれる。流行のシンプル系オフィスにも、違和感なくマッチ。まずはサイトで、そのビジュアルを見てほしい。(取材・文 乾 雅美)
在室検知センサー・スイッチ