米国のワシントン大学の研究グループでは、脳震盪を含む脳損傷のスマートフォン上での診断を実現するアプリ「PupilScreen」を開発中だ。
・動画と深層学習で病気を判定
脳損傷特有の症状として瞳孔の変化が挙げられる。ゆえに、脳損傷を負った患者の病状を判断する際、ペンライトなどの光を眼球に当て、光が当たっている側の瞳孔と当たっていない側の瞳孔の収縮を比較するという処置がとられる。
近未来の医療はスマートフォンのカメラを有効活用だ。スマートフォンカメラのフラッシュで患者の瞳孔に刺激を与えると同時に、動画モードで3秒間瞳孔を撮影。瞳孔における光の反射量と深層学習データを比較し、病気の可能性を探る。人間の肉眼では判別しにくい変化を見破ることも可能であるという。
・2年以内に実用化へ
従来の脳損傷の診察に必要不可欠な瞳孔計は高価であるにもかかわらず、使用頻度が少ないという。それに比べると、アプリの導入・運用コストは安価であるため、病院を経営する側にとっても得られるメリットは大きいと言える。
脳損傷患者や健康な人を含む48名を対象とした臨床試験では、ほぼ正確に脳損傷を診断可能であることが確認されている。今秋からは瞳孔反応に関わる大量のデータを収集すべく、臨床試験を本格化させる。
早ければ、2年以内に実用化の予定。
University of Washington