Matternetステーションは、自律型ドローンとクラウドシステムにより、医療施設間ネットワークを構築していく予定。ステーションには、ドローンの充電およびスマートな離着陸ができるパッドを備えていて、病院は迅速に血液サンプルや医療情報を送ったり受け取ったりできるようになるようだ。
・簡易な操作で血液サンプルの迅速な運搬
性急に輸血が必要な患者がいて、血液型の判定が現場ではできないとき、通常、機密扱いとなる血液サンプルを、タクシーなどで検査機関に運搬することは難しい。そんなときに、道路の替わりに空を使って迅速な運搬をおこなうのが、Matternetステーションだ。
Matternetステーションを利用した血液サンプルの運搬では、まず、QRコードがついたボックスに血液サンプルをパッケージング。ステーションのQRコードをスマートフォンでスキャンし、ボックスを預ける。すると、ステーションは待機していたドローンにボックスをセットして離陸する。ドローンは正確な信号で案内されながら飛行し、検査施設に設置されたステーションに着陸する。
パッケージが到着したことをアプリを通じて通知されたら、検査施設の技術者がスマートフォンでQRコードをスキャンしてステーションのロックを解除。血液サンプルを受け取る。最後に、アプリを通じて結果をクラウドに上げれば、現場で参照可能となる。
・年末までには医療施設間ネットワークでの運用拡大
このシステムでは、運転手も必要なく渋滞とも無関係だ。直感的な操作でセキュアで正確なオペレーションが実現できるため、医療技術者の負担も少ない。
Matternetによる医療施設間ネットワークでは、30分以内にどの医療施設にも医療アイテムを配送することができるようになるとのこと。
まずは、実験的に一部で稼働し始めるMatternetステーションだが、年末までにスイスの医療施設間ネットワークの運営を開始する予定だ。
Matternetは、国境なき医師団と提携しており、すでに開発途上国で簡易版の運用をおこなっている。国境なき医師団が活躍する国では、交通インフラの整備が不十分だったり、安全性に問題があったりといったことから、医療用ドローンでの配達は非常に重要な役割を果たしているようだ。
自律型ドローンによる医療施設間ネットワークが充実し普及が進むことで、医療施設の運営は著しく効率化され、よりスピーディなケアが提供できるようになるだろう。
参照:Medical delivery drones are coming to Switzerland-Mashable