これを実現するため、動き出したのが民間企業。障がい者を支援するサービスやアプリも、多くリリースされている。2005年創業のLITALICOも、そんな会社の1つ。「障がいのない社会をつくる」をビジョンに、障がい者向け就労支援事業や、子どもの可能性を拡げる教育事業を全国で展開。中でも、発達障がい児を支援するアプリには、特に力を入れてきた。
今回ご紹介する「にゃんタップ」は、その第5弾にあたるアプリ。世界150以上の国と地域に向けて、先月23日に配信を開始した。一体、どんなアプリなのだろうか。執行役員 CTOの岸田 崇志(きしだ たかし)氏に、話を聞いた。
・「同じ」という概念を楽しいゲームで認識
Q1:まずは、このようなアプリを開発されたきっかけから、お聞かせください。
お子さま向けアプリは市場に多く存在しますが、幼児や発達障がいの子どもが安心して使えたり、学習用途を満たすものは少ないのが現状です。こうした背景を考慮し、「日常生活の中で発達障がいのお子さんや親御さんを、少しでも助けられるものが作れないか?」というところから、開発が始まりました。
当社は発達障がい児向けの教室(LITALICOジュニア)事業も行っており、親御さんたちから、リクエストをいただく機会が多くあります。その中でもニーズが高く、かつご家庭でも実践可能なアプリを提供していこうと、開発に励んでいます。
Q2:「にゃんタップ」とは、どんなアプリなのでしょうか。
「同じ」という概念を覚える「マッチング」は、言葉を理解する力を育む基礎となる重要な要素です。このアプリは、「同じネコを探す」というシンプルなルールで、マッチングを楽しく学べるようになっています。繰り返し遊んでもらう工夫として、プレイすると星がたまり、にゃんこがコレクションされていく収集要素も入れています。
子どもが自らやりたくなるよう、ゲーム仕立てにすることで、繰り返しプレイを促し、シンボルのマッチングを育む機会を、増やすことができればと思っています。
・障がい者全般の課題を技術の力で解決したい
Q3:「にゃんタップ」は発達障がい児の成長を、どのような形でサポートするのでしょうか。
発達段階にある子どもにとって重要なのは、さまざまなマッチングを段階を経て、学んでいくことです。マッチングとひと言で言っても、「シンボルとシンボル」「シンボルと意味」「シンボルと音」「シンボルと文字」と、学ぶことは多岐にわたります。
「にゃんタップ」は、言葉を学ぶための基礎となるシンボルのマッチングに特化したアプリです。低年齢の子どもでもプレイできるよう、シンプルなタップ動作のみで遊べる工夫をしています。文字情報の認識が難しいため、正解不正解のフィードバックも、エフェクトや音声でわかりやすくなるよう、心がけて開発しています。
Q4:発達障がい児に特化したアプリは、今後もリリースされていくのでしょうか。未来の展開について、教えてください。
社会課題は世界共通だと考えているので、現在のLITALICOのサービスを届けられない地域の方や、海外の方の生活を助けたいと思っています。今年4月の第1弾リリースから4か月で、シリーズ通算50万ダウンロードを達成しました。日本国内のみならず、海外のダウンロード数も多く、ニーズの高さを感じています。
これからも障がい者全般の課題を、技術の力で解決するという取り組みを続けていきます。今後リリースされるプロダクトにも、ぜひご期待ください。
(取材・文 乾 雅美)
にゃんタップ