パスワードの長さ・複雑性を増したり、数段階に及ぶ認証をかけたりといった方法はとても煩雑で、セキュリティを強くするほど利便性の犠牲も大きくなる。このため、最近ではロック解除に物理デバイスを活用する風潮が強まってきた。
こうしたなか、シリコンバレーのスタートアップ、Bellus3Dは、モバイル端末用の高度な3D顔認証技術を開発した。この技術は堅牢ながらも利便性も高く、将来的には認証手段としてのシェアを広げる可能性がある。Bellus3Dの3D顔認証技術についてみていく。
・なりすましが極めてむつかしい3D顔認証
従来の2D顔認証は、照明や顔の向き、メイクやメガネなどの加減で認証ができなかったり、写真やビデオを使ったなりすましが可能だったりと、信頼性に課題があることが知られている。
指紋認証や虹彩認証などにに関しては、直接指で触れたり虹彩に光をあてたりする必要があり侵略性が高いほか、離れた位置からの認証ができないといった欠点がある。
Bellus3Dの顔認証は、赤外線センサーとレーザーエミッターを使用し、数万点の3Dポイントをキャプチャして比較する。暗い場所や暗闇でも認識し、メイクの影響を受けずに、幅広い顔の向きにも対応する。
また、偽装が難しく認証精度も極めて高いといった特徴がある。実証テストでは、FAR(False Acceptance Rate:他人を誤って許可する確率)0.001%を達成したとのこと。
・50万のポイントで顔を測定して数秒でスキャン
Bellus3Dの顔認証では、指紋登録と同じように3D顔モデルを登録する。モバイルデバイスに取り付けられた高解像度の顔スキャナ「Bellus3D Face Camera」を利用して3D顔モデルをキャプチャ。必要に応じて複数の表情を登録することも可能だ。
Bellus3D Face Cameraは、独自の特許出願中の技術を使用して最大50万の3Dポイントで顔を測定し、しわや毛穴などの顔の詳細までを数秒で取得する優れもの。
ロックの解除はカメラに向かって登録した表情を示すだけという手軽さだ。
・将来的には金融システムでの活用も
現在、Bellus3Dでは、ハードウェア企業と協力して、新しいスマホへの組み込み型3Dカメラも開発しているとのこと。
この顔認証技術は、金融など大規模システムにも有効だ。データベース上の3D顔モデルとの比較処理を、複数のサーバーで並行して実行することで、数百の顔モデルを数秒で検索できる。
これ以外にも、車や建物などのロック解除など応用可能領域は広く、ポテンシャルの高い技術といえるだろう。
Bellus3D