スマホで望む写真が手軽に撮れるなか、現像に時間がかかり写真の保管も不便といった、ローテクなプロダクトへの回帰が進む背景には、大量の写真が次々と流れては消えるタイムラインに象徴される、現代の撮影・閲覧体験への反動があるのだろう。
こうしたなか、思いもよらない発想を実現してしまったツワモノが現れた。Redditor(米国の2ちゃんねる的存在)のAbhishek Singhさんは、GIFをプリントするポラロイドカメラを思いつき、4週間かけてこれを自作したのだ。このカメラはいったいどういう仕組みになっているのだろうか。
・「Instagif」は見た目も挙動もポラロイドカメラ
写真を持つように、GIFを手元に置いておくことはできないかと考えたSinghさんは、クラシックポラロイドカメラ「SX-70」にインスパイアされ、「Instagif」を自作する。
外見はSX-70にそっくりなこのカメラだが、撮影後にプリントされるのは写真ではなくGIFだ。
このカメラでは撮影した画像を、フィルムの替わりにポラロイドサイズの液晶ディスプレイ(LCD)にプリントする。
GIFに納めたいものを撮影するとLCDが排出され、そこには目的のGIFがちょうどポラロイド写真のようにゆっくりと表れる。その後、通常フレームレートでGIFがループ再生し始めるというものだ。
・カメラとカートリッジにはラズベリーパイを使用
Singhさんは、カメラをモデリングして3Dプリント。カメラとカートリッジの中身はどちらもラズベリーパイとなっている。
スマホで撮影した連続撮影画像をGIFにすることはとても簡単なことだが、わざわざポラロイドに似せた動作をするようにプログラミングし、GIFを手元に持てるような、おおげさなプロダクトを完成させた。
とはいっても、カートリッジのサイズからしてすでにスマホよりも分厚くてかさばるこのプロダクトが実用的かといわれれば、とてもそうは思えない。
カートリッジはダビングして繰り返し使えるようだが、お気に入りのGIFを残したまま次々と撮影していくのは、1枚のカートリッジ(=1台のラズベリーパイ)では難しそうだ。
ただ、エネルギーを投入してローテクを再現した成果物がナンセンスであればあるほど、込み上げてくる笑いも大きいものなのだろう。実際、Redditのスレッドでも、このバカバカしいプロダクトのウケは上々のようだ。
Singhさんは、ご丁寧にInstagif製作の全プロセスを文書化し、必要なコードをすべて掲載したものをGitHubにて公開している。興味のある方や再現したい方はぜひのぞいてみてほしい。
Instagif/GitHub