東京大学から誕生したスピンオフベンチャー、Xenoma(ゼノマ)が開発したのは、普通の服のように着用できるスマートアパレル「e-skin」。これまでは法人向けにのみ生産していたが、量産体制の整備によって、個人ユーザーにも、リーズナブルな価格で提供できるようになったという。
伸縮性エレクトロニクス技術を用いた本品。従来のスマートアパレルにない、着心地の良さも自慢の1つだ。新感覚のモーションインプットツールとして、さまざまな体験をユーザーに与えてくれるだろう。
現在、Kikcstarterで支援を募っている最中。テッカブルではその合間を縫って、インタビューを決行。Co-Founder & 代表取締役CEOの網盛 一郎(あみもり いちろう)氏に、話を聞いた。
・カメラなしで人の動きを認識
Q1:まずは、このような製品を開発するに至ったきっかけから、お聞かせください。
私たちは、東京大学・JST/ERATO染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクトで開発された、世界最高レベルの伸縮性エレクトロニクス技術の事業化をめざしていました。
同プロジェクトではその応用として、衣服などのテキスタイルへの電子回路形成技術を、確立しています。(それを元に)スピンオフ起業後、洗濯可能なスマートアパレルとして開発した製品が「e-skin」です。
Q2:「e-skin」とは、どんな製品でどのような場面での使用を、想定しているのでしょうか。改めて教えてください。
「e-skin」は、カメラなしで人の動きをいつでもどこでも認識できるスマートアパレルです。マラソンやゴルフなど、屋外のスポーツにおいて、プレイヤーの動きをコーチングしたり、ゲームコントローラーとして、自分の体の動きで格闘ゲームを楽しむことができます。また、VRやARへの情報入力用コントローラーとして、利用することも可能です。
・オープンイノベィテイブな環境下で用途を広げていきたい
Q3:開発に当たって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
電気が流れる金属は、通常硬いものなので、伸縮させると簡単に切れてしまいます。そのため、力のかかりやすい衣服を、着脱や洗濯などで、壊れないようにすることに苦労しました。
Q4:現在、Kickstarterにて支援募集中とのことですが、資金調達後は、どのような展開をされるおつもりですか。
現段階ではゲームで遊ぶユーザよりも、自分でゲームやアプリを作るプログラマーを対象にしています。
まずはKickstarterなどを通して、本品を手に入れた人たちと積極的に交流し、協力者にもきちんと利益を還元しながら、オープンイノベィティブな環境下で、用途を広げていくつもりです。
Kickstarterでの目標額は、すでに達成。次のステップへ向けて、足場は固まった。あとは、今後の動向を見守るばかり。日本発のスマートテクノロジーの活躍を、楽しみに待ちたい。(取材・文 乾 雅美)
e-skin Developer's Kit