だがその殆どは、電源というものを必要とする。電気がなければただの箱だ。
しかし考えてみれば、音というのは空気や物体の振動である。つまりその振動を拡大させてやればいいわけで、そこに電力を使うか否かは本来二次的な問題だ。
電源のないスピーカーというものが、この世には存在する。
・電力を使わないスピーカー
国内クラウドファンディング「Makuake」に出展された「MUKUNE」は、山形県に所在する杉山木工が開発した製品である。
これはiPhone専用の木製スピーカーケース。そう、立派な音楽スピーカーだ。ひとつの木材を5軸制御NCルーターで削り出し、ホーン形状の共鳴路を作ることに成功した。これがXYZの3軸のみにしか対応していないNCルーターならば、単純な穴しか掘り出せないのだ。
すなわち、曲線が振動を拡張させるのである。そしてそれが達成されれば、わざわざ電源を設ける必要がない。
この製品を生み出したのが、従業員数わずか5名の地方の中小事業所だということは特筆に値する。
・様々な材質を用意
MUKUNEは現在、Makuakeのキャンペーンページにおいて4種類の材質からなる製品を出展している。ブナ、パドーク、ウォールナット、そしてMakuake限定のチーク。
販売予定価格は税込み7560円であるが、Makuakeでは6048円の出資枠が用意されている。また、iPhone以外のスマホにもセミオーダーという形で対応する。
そして本物の木を削り出している製品だから、それぞれ木目の調子が異なる。世界にふたつとして同一のものができない。つまり、そこにあるMUKUNEはオンリーワンということである。
Makuake