基幹となるサービスは、2つ。患者向けのスマートフォンアプリ「MeDaCa」と、医療機関向けのウェブサービス「MeDaCa PRO」だ。前者は、診察券、検査データ、処方箋、レントゲン写真、健康診断書といった紙のデータを保存し、医療機関へスムーズに引き渡せるサービス。後者は医療機関から、患者へ検査データを送付できるプラットフォーム。いずれも、迅速かつ的確な医療情報の提供に貢献している。
7月末には、科学技術振興機構(JST)からの資金調達を実施。今後の動向が、気になるところだ。そのあたりも含め、代表取締役社長、西村 邦裕(にしむら くにひろ)氏に、話を聞いた。
・よりよい医療の発展をめざして
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
慶應義塾大学医学部では、文部科学省が平成25年度に開始したセンター・オブ・イノベーション・トライアル(COI-T)拠点として、医療イノベーションを目的とした研究開発を進めていました。
創業者らが、そのプロジェクトで研究する中で、医療機関と患者さんをつなぐプラットフォームサービス「MeDaCa」のアイディアが誕生し、事業化に至りました。
Q2:医療分野の中で、それぞれのサービスが解決した課題は何でしょうか。
「MeDaCa」によって、患者さん自身が、自分の医療情報を管理できるようになります。その結果、より自分の健康に関心を持ち、何かあったときには的確に自分の医療情報を、医療機関へ伝えられるようになります。
「MeDaCa PRO」では、医療機関から患者さんへ、直接メッセージを送ったり、検査データを送付できるため、サービスの向上につながります。また、患者さんから過去の検査データの提供を受けることも可能です。これらのサービスを元に、より迅速に、よりよい医療の発展を推進していきます。
・患者、医療機関双方から好評
Q3:実際にサービスを利用したユーザーからの反響は、いかがなものでしょうか。
「MeDaCa」を利用したユーザーからは、「紙の保管に困っていたので、電子データで保管できるようになってよかった」という声をいただいています。他にも、「服薬している薬の名前を憶える必要がない」「過去の検査データをいつも持ち歩いているスマホに保存できるので、何かあったときに安心できる」というコメントもありました。
「MeDaCa PRO」を利用する先生方からは、「他の病院との連携ができ、過去の情報を閲覧ができるところがいい」「休診や予防接種などのお知らせを送信できるので、重宝している」など、好意的なご意見をいただいています。
Q4:今回の資金調達によって、サービスはどのように変わるのでしょうか。今後の展開について、教えてください。
現在のサービスが、より便利に、より使いやすく、よりわかりやすくなるよう、ユーザインタフェースを含めて、ブラッシュアップさせていきます。開発体制も強化して、新機能のリリースも進めていきます。
また、「MeDaCa」「MeDaCa Pro」の双方をより多くの人々にきちんと知ってもらいながら、使っていただく機会を増やしていくつもりです。
少子高齢化が進む中、医療施設不足も懸念される昨今。患者と医療従事者、双方の負担を軽減する本サービスの需要は今後、ますます増えていくだろう。同社の発展と努力に、期待したい。(取材・文 乾 雅美)
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