放射線量が高い原子力発電施設内など、危険が伴う環境では人に替わってロボットが活躍する。
ただし、福島第一原発で進められている格納容器内の調査をみれば、未知で複雑な環境下で作業するロボットの開発がいかに困難かを察することができるだろう。
今年1~3月に1、2号機で行われた調査では、東芝らが開発する「ミニマンボウ」は堆積物に阻まれるなどして十分な成果が挙げられなかった。
7月末に3号機で行われた調査では格納容器内部の様子を捉えることができ、次のステップに向けたロボットの開発が進められることになる。
こうしたなか英OC Roboticsらが、複雑な空間を探索することに適したヘビ型ロボット「LaserSnake2」の開発を進めている。このロボットは核廃棄作業を想定しており、原子力セクター向けの強力なソリューションとなる可能性がある。
・ヘビのように柔軟なアームで作業環境に適応
LaserSnake2は、狭い空間を縫って前進。場合によってはヘッド部の高出力レーザーで障害物を切断する。
現在は、実証用に設計された領域以外でも安全に使用できるかや、レーザー切断時の周囲への影響などについても研究が進められているとのこと。
福島第一原発での例が示す通り、原発で作業するロボットは空気と水、どちらの環境にも適応することが求められる。
また、狭くて距離を隔てた空間での作業が必要になり、LaserSnake2では柔軟性の高いヘビのようなアームでこれらを実現する(ミニマンボウでは複数の推進用スクリューと操作用のケーブルが採用されている)。
・高出力レーザーにより安全な作業を実現
レーザー切断では、高度に集束されたレーザー光により対象物を溶融して切断。さらには切断面から出る溶融物に、高圧のエアーを吹き付ける。
高出力レーザーは非接触による作業となるため、汚染された障害物も安全に切断できるという。
また、LaserSnake2のアームの中心は空洞になっており、ここに光ファイバーによる高出力レーザーをはじめ、用途に応じたツールを通すこと可能だ。
現時点では、LaserSnake2はまだ開発の途上にある。実用化されれば危険度の高い環境で効率よく作業できる遠隔切断技術が実現することになり、これを活用することで核廃棄作業もはかどるだろう。
この技術はまた、石油・ガスおよび建設の領域における、高価値資産の検査や組立、航空機翼といった限られたスペース内での作業など、原子力セクター以外での活用に対しても大きな可能性を秘めている。
LaserSnake2