オーストラリアのモナシュ大学のチームで、「脳に移植したインプラントを利用して視覚を保存する」研究が進められているという。このデバイスは、ワイヤレスカメラと、脳に移植されたインプラントの組み合わせで作動し、視覚野の働きをサポートする。ユーザーは、サングラスのような形状のツールを目の部分にかける。眼鏡のレンズ内側には、目の動きを感知するセンサーが装着されていて、レンズ外側部分にあるデジタルカメラに指令を送る。脳内のインプラントが、ワイヤレスで送られてくるシグナルを受信し、直接、脳の視覚野に働きかけるという仕組みだ。この装置を利用することで、ユーザーは物体のおよその輪郭を掴むことができ、自分の周りにある環境の状況を把握することが可能になる。
視覚の人工器官の研究開発は、20年以上の長きに渡って続けられてきているが、このデバイスが特に優れている点は、使用者の視覚機能に依存することなく、デバイスの機能が活用できる点、つまり言ってみれば、使用者の眼球すら必要ないという点である。この画期的な研究は、来年から試験運用を開始するという。視野機能に不安がある人にとって、力強い助けとなりそうなこのデバイス、本格運用に向けて大きな期待がかかる。
Monash University visual prostheses