そんな同社が放つ最新のシステムが、「Backlog(バックログ)」だ。2006年のリリース以降、NTTドコモ、オムロンなど大手企業を筆頭に、 無料版5万社72万人、有償版では契約数5000社を突破。さまざまなチームの情報共有をサポートしながら、チームで働くことの楽しさを、再認識させてくれる。
取材に応じてくれたのは、ソフトウェア開発者の藤田 正訓(ふじた まさのり)氏。「Backlog」の開発にフォーカスしながら、成功の秘訣を探ってみた。
・自分たちが欲しいと思ったツールを形にした
Q1:まずはさかのぼって、「Backlog」開発の経緯からお聞かせください。
「Backlog」を開発し始めた12年前、ヌーラボではシステムの受託開発をしていました。タスク管理ツールも使っていたのですが、きれいなUIや楽しくなる要素が一切なくて、使っていても心が沈んでいく一方でした。そこで、もっと笑顔で使えるツールが欲しいと思って、自分たちで作り始めたのが発端です。
Q2: 有償版では、セールス0人で大手を含む5000社と契約できたそうですが、それはなぜでしょうか。また、海外の売上比率は、どれくらいになるのでしょうか。
運とタイミングは、大きいと思います。当時はタスク管理と言えば、自分でインストールしてプラグインで拡張するタイプのものが主流で、「Backlog」のようにSaaSで提供して最初からファイル領域やレポジトリを含む全機能がそろっているものは、ほとんどありませんでした。
最近は競合も増えていますが、本サービスを気に入っている既存ユーザーの皆さまが口コミで広げてくれたため、変わらず成長を続けています。なお、海外の売上比率は、全体の4%程度です。
・本格的な海外展開を開始
Q3:実際に導入されている企業からの反応は、いかがなものでしょうか。
わかりやすいUIのため、非エンジニアの方にも問題なく使えると、評価いただいています。エンジニアと非エンジニアが一緒に働く場合などは、特に便利とのことです。
他のツールもいろいろ試し、比較した上で選んでくれたユーザーの中には、“まとめて課題編集”といった「Backlog」独自の機能が、自社での使い方にフィットしているという方もいます。料金体系についても、ユーザー数無制限のプランが、特に支持されたようです。
Q4:今後の展開について、教えてください。
以前から準備していた海外展開を強化する体制が整ったので、今年から実行していこうと思っています。
国内では、コミュニティマネージャーやカスタマーサクセスといった職種のスタッフが、新しく加入してくれました。彼らの働きにより、今まで届きにくかったユーザーにも「Backlog」の魅力が受け入れられつつあります。
今後は、システム開発以外の業種の方にも安心して使っていただけるように、機能やデザインも整えていくつもりです。
セールスチームを持たないヌーラボでは、サポートエンジニアが企業とコミュニケーションを取っているという。生粋の“ものづくり集団”である彼ら。次はどんなサービスを生み出すのか、楽しみだ。(取材・文 乾 雅美)
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