現在、クラウドファンディングサイトkibidangoで公開中の「Nefry BT(ネフリービーティ)」も、そんなデバイスの1つ。可能な限り、ハードウェアを意識せず使えるよう設計された本品は、はんだづけや複雑な接続なしで動作する。初期設定は、ただ1つ。ケーブルを挿すことのみ。これだけで、電子工作も簡単にできてしまう。IoT入門として、最適なプロダクトだ。
現段階ですでに、目標の3倍以上の資金を達成。ユーザーからの期待度も大だ。開発元は、昨年設立のスタートアップ、dotstudio。代表取締役の菅原 のびすけ(すがわら のびすけ)氏が、取材に応じてくれた。(写真:右から3番目が菅原氏)
・BLE対応でビーコンとしても利用可能
Q1:まずは、このような製品を開発するに至ったきっかけから、お聞かせください。
開発者のわみ氏が2年ほど前に、知人のウェブエンジニアから「IoTに入門してみたいけれど、どんなデバイスを選んだらいいですか?」と、聞かれたことがきっかけです。
わみ氏としては、その頃話題だったESP8266という、安価なWi-Fi搭載のチップをオススメしたかったそうです。しかし、当時はESP8266を簡単に扱えるデバイスがなく、結局自分で作ることにしました。
(そのとき考案された)ESP8266ベースの「Nefry」誕生から2年経ち、Wi-Fi&BLE(Bluetooth Low Energy)対応のESP32が登場しました。そうして、2年間で得たユーザーのフィードバックにも対応し、従来品から大幅に進化した「Nefry BT」が生まれたのです。
Q2:「Nefry BT」とは、どんな製品なのでしょうか。仕組みや特長など、初めての人のために詳細を教えてください。
「Nefry BT」は、Wi-Fi&BLE対応の小型IoTプロトタイピングボードです。最大の特長は、Arduinoなどと違って、PCに接続しなくても、ブラウザでWi-Fi設定やプログラム書き込みができることです。
Raspberry Piだと初期セットアップが大変、Arduinoはインターネットに接続するのが大変。本品はそれらの間を取った、Wi-FiにすぐつながるArduino互換ボードでもあります。BLE対応もしていて、ビーコンとしても利用できるため、O2Oアプリケーションも作成可能です。
・IoT初心者の入口となるプロダクトをめざす
Q3:開発にあたって最も苦労したのは、どのようなところでしょうか。
「Nefry」は、ネットにつないで簡単に開発できることをテーマにしているので、それを実現するための「Nefryライブラリ」を整えるのに、最も苦労しています。
作っているうち、もっと簡単に扱えるような新機能がひらめくので、その機能を搭載するためにライブラリ作成したり、あまり情報のない機能でも、簡単になるのであれば、その機能を頑張って実装したりしています。
Q4:「Nefry」シリーズは、今後も開発されていくのでしょうか。将来の展開について、教えてください。
現状では、ハードウェア中心の展開しかできていませんが、今後は「Nefry」専用クラウドサービスや、AWSやAzureなど、従来サービスとの接続を想定したものも検討しています。IoT初心者の入り口として、多くの人に使われるデバイスとなるよう、努めていくつもりです。
冒頭で述べたとおり、クラウドファンディングでの評判は上々。早期割引セットも、売切れ続出の状況だ。今なら、ビギナー向けの6900円セットから購入可能。締め切りは7月27日。夏休みに試すなら、早めに申し込むのが吉。(取材・文 乾 雅美)
Nefry BT/Kibidango