・蝶の羽から着想した技術
Niraj Lal氏を中心とするオーストラリア国立大学のResearch School of Engineeringのチームでは、とある生き物を手本として高効率の太陽光電池技術の開発を進めている。
アイデアの元となったのは、“ディディウスモルフォチョウ”という青い蝶の羽。この蝶の羽は光の色を散逸・反射、吸収する。この特徴に目をつけ、光を上手に操ることで高効率のソーラーパネルの開発につなげられるのではないかと考えたという。
・光の方向をコントロール
蝶の羽に見られる円錐形のナノ構造は、光を散らし、印象的な虹色を生み出している。この羽と同じような構造を再現すれば、光の方向をコントロールできると目算をつけた。
ソーラーパネルの異なる層ごとに、異なる光の色を吸収できるようにすることで、効果的に光を取り扱える技術が確立すれば、太陽電池の性能が大幅にアップするはずだ。
・透明化、反対にステルス化も
Lal氏によれば、不透明なオブジェクトをある色と組み合わせることで透明化する技術や、反対にステルス化させるような技術に用いられるのではないかと期待しているという。例えば、窓はある色のもとでは透明なのに、他の色だとマットなテクスチャになる……といった具合。
太陽電池の効率化だけでなく、建築、軍事利用などのステルス技術への応用も見込まれる。また、この技術はコストがそれほどかからないのも大きな利点になりそうだ。
Australian National University