6月9日にリリースされた「Glit(グリット)」は、AIを用いたリコメンド型リクルーティングアプリ。自分のプロフィールや学歴・経歴や趣味などを登録しておくと、AIが自動でその人に合った求人情報を、毎日10件ずつレコメンドする。ユーザーはその求人情報に対し、「興味あり/なし」をつけていく。すると、AIが蓄積したデータを学習。レコメンドの精度が、さらに上がっていく仕組みだ。
提供元は、昨年末設立されたばかりのスタートアップCarat。代表取締役社長の松本 直樹(まつもと なおき)氏に、詳しい話を聞いた。
・AIが採用にまつわるさまざまな問題を解決
Q1:まずは、このようなアプリを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
弊社は半年前の2016年12月に創業し、過去2つほど事業にチャレンジしましたが、うまくいきませんでした。そこで、市場規模が大きく、かつ成長市場であり、自分たちの強みや経験を生かせる、HR(採用)のサービスを作ることに決めたのです。そこから解決すべき課題とターゲットを決め、今回の「Glit」を提供するに至りました。(中略)
「Glit」は、ユーザーのプロフィールや経歴・興味などから、求人情報をAIがレコメンドし、そこから「興味あり/なし」を学習します。仕事探しを面倒な作業と思わず、わくわくしながら、自分の可能性を探す機会と捉えて、楽しんでほしいと思います。
Q2:リクルーティングにAIを用いる利点は、何でしょうか。
人材エージェントがやっている業務を、ヒトではなくAIで代替できれば、扱える候補者・企業の数を増やせるでしょう。そうすることで企業側は、人材エージェントに払う高い成果報酬を抑えられるはずです。一方、候補者側は、自分のことをより理解してくれる、専属の人材エージェントを抱えることができます。
(「Glit」を使うことで)人材エージェントに頼れなかった中小企業や、人材エージェントにあまり時間を割いてもらえない候補者を、救えるようになります。
・企業サイドのためのリコメンド機能も開発予定
Q3:開発に当たって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
ユーザーに合わせた求人情報のレコメンドですね。これからデータを溜めながら精度を上げていく必要があるのですが、「ユーザーに向いている/合っている」という定性的なところを、どう作り込んでいくのかという部分が、非常に難しいところです。
Q4:バージョンアップや機能追加など、直近の展開で決まっていることがありましたら、教えてください。
今後は企業サイドのために、人材のレコメンド部分を作っていくつもりです。候補者が企業に「興味あり/なし」をつけるのと同様、企業にも候補者に興味があるかどうかを、評価してもらいます。
そうすることで、ユーザーが自分の市場価値を、可視化できるような形を取ろうと思っています。自分に対して、何社からオファーがあり、どんな会社が興味を持っているのかを、見られるようにしていく予定です。
就職活動では焦るあまり、自己を見失いがち。しかし、AIという冷静なパートナーがいれば、そんな心配はなくなるかもしれない。HR分野に今後、AIがどのような影響を与えていくか。まずはユーザーの反応に、注目したい。(取材・文 乾 雅美)
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