この「POET ON THE SHORE」を見ていると、その予感が確信に変わりそうだ。彼はAI搭載の自律型ロボットで、浜辺を自由に歩き回る。本体にはいくつかのセンサーが内蔵され、海や風など、周囲の状況を鋭敏に感知するようになっている。
・自然を歩き回り、詩を作成
こうした詩的感情を作り出すのは、人工知能の機械学習能力。人間がプログラミングしたり、操作することは一切ない。詩人が自然の中で情緒を感じ、作品に反映するように、「POET ON THE SHORE」も多彩な感覚体験から、感情を育てるのだという。
さらに驚くべきことに、このロボットはその感覚を詩に翻訳し、浜辺に書き込むことができる。まるで人のように砂浜を歩き回り、感じたことをそのまま詩に訳す。完成した詩はデータで保存されることもなく、波が打ち寄せると消されていく。あくまでも自然の摂理任せ。ここでも、人間の意志が働くことはない。
・AIロボットの方向性に一石?
考案者は、北京出身のYuxi Liu。女性らしい豊かな感性を活かし、これまでに数多くの作品を発表してきた新進気鋭のデザイナーだ。ジャンルも幅広く、その仕事は革新的な製品・サービスから、インタラクティブなインスタレーション、デジタル製作、デザインフィクションにまで及んでいる。
「これに何の意味があるの?」と言ってしまえばそれまで。テクノロジーとは、一見何の価値もないところから発展していくものだ。一般販売は今のところ未定だが、今後のAIロボットの方向性に何らかの影響を与えそうな気がしてならない。
POET ON THE SHORE/Yuxi Liu