ということは、それを撮影するカメラがたった一眼のみということは絶対にあり得ない。全方位をカバーできる魚眼レンズが複数本必要だ。だがそうなると、今度は製品そのものの値段がネックになる。当たり前だが、レンズが多くなるほど製品単価が高くなる。
すなわち、本格的なVR動画の撮影はまだまだ「庶民的」とは程遠いのだ。
だが、より上質の全方位カメラを普及させようという動きはある。
映画並みのサウンドと映像を
クラウドファンディングサービス「Kickstarter」に出展された、「SONICAM」という製品。これは今存在する4,000ドル(約45万円)クラスの全方位カメラと比べても、遜色ないどころか最高のスペックを誇る逸品だ。
球形のボディに搭載されているのは、9本の魚眼レンズと64個のマイク。この要素が、音と映像のハイレベル3Dを実現している。
撮影した動画は、まるで映画のようになる。いや、全方位周回ができる分だけ映画を凌駕しているかもしれない。
ステッチングは撮影中に内蔵機能で行うから、プレビューを確認しながらの映像制作ができるという。専用アプリを使った手軽な編集も可能だ。
上がる性能、下がる値段
ところで「今存在する4,000ドルクラスの全方位カメラと比べても」という先ほどのくだりだが、SONICAMは現在Kickstarterで2,599ドル(約29万円)からの出資枠を設けている。ただし、この記事を執筆している5月30日の時点で残り個数が9個だから、数日内に締め切られてしまうだろう。
数10万ドルはまだまだ「庶民的」と言えるレベルではない。それでも、スペックと対比した場合の製品単価は着実に下がってきている。ドローンとVR技術は「現代の産業革命」と言われているが、一般市民との距離は日に日に縮まっているのだ。
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