そんな悩めるオーナーたちを支えてくれるのが、この「大家CLOUD」。大家と不動産事業者のコミュニケーションを、トータルでサポートするITサービスだ。5月15日から、新機能も追加。リニューアルとともに、空室長期化を防ぐための必携のサービスに生まれ変わった。
運営元は、2016年創業のココレア。代表取締役の武井 紀久(たけい のりひさ)氏に、話を聞いた。
・不動産業界の非効率性と課題をITで解決
Q1:まずはさかのぼって、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
私自身が大家業をやってみて感じたことなのですが、物件の募集依頼を出すためには、仲介業者を1店舗ずつ直接訪問し、入居募集を依頼しつつ、人間関係を作っていく必要があるんですね。その後のやりとりも、電話やファックスが多い。
不動産業界は、とてもIT化が遅れています。そこで、こういった諸々の課題や非効率を解決し、大家さんの業務を支援するITサービスを、提供しようと考えました。
Q2:「大家CLOUD」とは、どんなサービスなのでしょうか。詳細について、改めて教えてください。
主に自主管理大家さんをターゲットにしていて、大きく2つの機能があります。1つは賃貸管理機能です。修繕やお問い合わせなど、管理履歴・入居者の契約情報をデータベースとして蓄積したり、契約期間から自動的に2年に1回の更新手続きのタイミングをリマインドしてくれる機能もあります。また、家賃の入金振込を効率化しつつ、会計ソフトに取り込み、仕訳データに出力する機能なども実装しています。
もう1つは、空室募集機能です。空室が出たときに、仲介業者の方に設備や間取り、写真などの募集情報を配信したり、メッセージでやり取りを行う機能です。募集図面なども自動で作成できるので、大家さんが頑張って空室を埋めようと汗をかくときには、ぜひ使ってほしいですね。
・空室対策に向けてさらなるバージョンアップを予定
Q3:実際に本サービスを利用したユーザー(大家さん)からの反響は、いかがなものでしょうか。
空室募集は大家さんが無料で利用できることもあり、すでに100以上の事業者に、登録・利用していただいています。試験運用中でありながら、「週末直前に募集情報を配信した仲介店舗の担当者が、その週末中に入居希望者を案内してくれて申込みに至った」という事例もありました。
(こうしたことから)大家さんが無料で取り組むことができる、有効な空室対策になるのは間違いない、と感じています。
Q4:今後の展開で決まっていることがありましたら、教えてください。
もともと意識が高い大家さんは、自ら複数の仲介業者の方にコンタクトして人間関係を作っていることが多いので、そういった方が使いたい機能を、さらに充実させていきたいと考えています。
また、大家さんだけでなく、大家代行業を請け負っている管理会社の方にも使ってもらえるよう、バージョンアップを考えていて、現在準備を進めているところです。管理会社も客付が強い仲介店舗の方と密にコミュニケーションを取りながら、空室対策を行うケースが多いので、そこは大家さんと同じではないか、と思いますね。
流行の移り変わりが早い現代。賃貸アパートやマンションも、時代に合わせてリノベーションしていかなければ、入居者を獲得するのは難しい。大家さんたちにはITを有効活用しながら、賢く運営していただきたいものだ。(取材・文 乾 雅美)
大家CLOUD