読者の中には、愛車がハイブリッド車という人もいるのではないか。従来のタイプに比べ、高燃費なのが魅力だ。
そのメリットを空の上にも持ち込もうと、米国のスタートアップ「Zunum Aero」が、ハイブリッド飛行機を開発中だ。
燃費を改善することで低運賃のフライトを提供でき、しかも炭素排出量を削減できるので環境にも優しいとうたう。2020年までに就航させる計画だ。
・航空大手2社がバックアップ
そんな夢のような飛行機、本当に実現するの?と感じた読者のために説明すると、開発元のZunum Aeroには航空機メーカーのボーイングと米国の格安航空会社JetBlueのそれぞれのベンチャーファンドが出資している。
つまり、航空業界をリードする大手2社がかなり真剣にバックアップしているプロジェクトで、開発には元NASAのエンジニアやイリノイ大学の研究者も携わっているとのこと。
・近距離専門に
Zunum Aeroが照準を当てているのは、旅客定員10~50人くらいの近距離フライトを専門とする小型機。
飛行機の定期便がない(少ない)、しかし車や電車で行くにはやや時間がかかる、というようなところへの乗り入れを想定している。
・運航コスト40~80%減
同社によると、燃費を改善することで運航コストを40~80%下げられる見込みで、その分、低運賃を提供できるとしている。そして頻回に飛ばすことで利便性につなげ需要の掘り起こしを狙う。
加えて、ハイブリッドでは騒音と炭素排出を抑制できるといいことづくしだ。
確かに、米国に限らず日本でも、地方便を中心に採算が合わずに定期路線の開設・維持を断念するケースは少なくない。飛ばないから需要が出てこない、運賃が高いから利用者数が伸びないという現実がある。
そうした、ニワトリと卵のような関係を断つ糸口となり得るのが、Zunum Aeroの飛行機だろう。安くて使い勝手のいいコミューター飛行機は世界で広く支持されるはずだ。