社会に出るとお互い忙しく、学生時代のように気軽に会うのは難しい。もちろん、FacebookやLINEでコミュニケーションを取ることはできるだろう。しかし、それはあくまでネットワーク内だけのもの。しかも複数を対象としているため、一人ひとりが本当はどう思っているのか、どんな話をしたいのか、深く知ることはできない。
そんなときは、この「knocker(ノッカー)」を利用してみよう。友人たちに自分の位置情報を提供し、待てる時間を設定。今空いている友達をフリック1つで気軽に誘いながら、待ち時間も積極的に楽しめる新感覚の再会アプリだ。
提供元は、2015年設立のディライトクリエイション。プロデューサーの歸山 和大(かえりやま かずひろ)氏は、徹底してリアルな交流にこだわったという。
・“会いたいのに会えない”というギャップを埋める
Q1:まずは、このようなアプリを開発するに至ったきっかけから、お聞かせください。
きっかけは、SNSを眺めていたときに、デジタル上ではつながっているけど「リアルで会えていない友達が多いなぁと」思ったことです。実際、1年に1回以上会っている友達を数えてみたら、Facebookの友達のうち、10%以下でした。
この話を周りにしたところ、「予定調整が面倒」「誘いづらい」など、リアルで話したいというニーズはあるのに、実際に会えていないというギャップを見つけました。このギャップを解決し、実際に友達と会って話すきっかけを提供することは、これからデジタルがさらに進化していく世の中において、大切なことなのではないかと思いました。それが、「knocker」開発の発端です。
Q2:近くにいる友人を誘う、暇な人と友達になれるなど、最近は多彩なコミュニケーションアプリが出ています。それらとの決定的な違いについて、教えてください。
他のコミュニケーションアプリとの大きな違いは、「友達とリアルで会う・話す」という目的に、フォーカスしていることだと思います。そのために、「いつどこで誰が空いているか?」という情報だけを提供し、予定調整や誘い文句を考えることなく、気軽な気持ちで会えるようなユーザー体験を提供しています。
他のサービスが「デジタル上でどれだけリアルなコミュニケーションを再現できるか?」という方向をめざしている中で、真逆の方向を目指しているとも考えられますね。
・都会の若者を中心に高評価をゲット
Q3:リリースから10日ほど経ちますが、ユーザーからの反響はいかがなものでしょうか。
「友達とリアルで会う」というコンセプトに、強く共感いただいていると感じています。実際にデータを見ても、アクティブ率・マッチ数なども、当初の想定より多いくらいです。
また、ユーザーヒアリングをしていると、忙しい若手社会人、就活生や大学生など都会の若者からの反応が良いことがわかります。ただ、SNS特有の「まわりの友達が使っていないと面白くない」という問題もありますので、ユーザーからのフィードバックを基にサービスを改善しつつ、効果的なマーケティングを活用して、ユーザー数拡大をめざしていくつもりです。
Q4:今後の展開について、教えてください。
uberやairbnbは、「いつどこで何が空いているか?」を顕在化させて効果的なマッチングを図っています。(同様に)「knocker」でも、「いつどこで誰が空いているか?」を顕在化させ、リアルな体験を軸とし、ユーザーの空いている時間を有意義な時間にできるようなサービスへ、成長させていくつもりです。
それにはまず、マッチ数が重要になりますので、そのKPIを向上させることに注力していく所存です。
(取材・文 乾 雅美)
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