人を自動的に識別する顔認識システム。監視カメラなどに使われ、最近では指紋や声紋などとともに本人かどうかを確認するためのセキュリティツールとして活用されている。
その顔認識システムを、病気発見に使うことができるようになりそうだ。アメリカの国立ヒトゲノム研究所は、顔認識システムを使って難病の胸腺低形成(ディ・ジョージ)症候群を検知できたと発表した。
・126の特徴を照会
胸腺低形成症候群は染色体の欠乏による病気で、免疫の低下や口蓋裂、低カルシウムなどの症状があり、また先天的な心疾患を伴うケースが多い。3000~6000人に1人の割合で発生する難病なのだという。
この病気は顔に特徴が出ることが多く、研究では126の特徴を用いてボランティアの顔写真を顔認識システムにかけた。その結果、96.6%の精度で胸腺低形成症候群を診断できたという。
・人種を問わず診断
この試験はボランティア156人を対象に行われ、ボランティアにはコーカサス系、アフリカ系、アジア系、南アメリカ系とあらゆる人種が含まれた。
つまり、生まれながらの肌の色や顔の特徴にかかわらず、病気を正確に診断できたことになる。
研究チームは今後、同様に顔認識システムを使って難病のウィリアムズ症候群やヌーナン症候群も診断できないか調べることにしている。