写真という芸術をもっと大切にし、ゆっくり鑑賞してもらいたい。「Coten(コテン)」は、そんな思いから生まれたオンラインサービスだ。ここにアクセスすれば、美しい写真をじっくり見られるだけではなく、誰でも無料で個展を開催することができる。
リリースからわずか1週間で、開催数100展を突破した同サービス。ユーザーからの期待の程が覗える。提供元のエムハンド代表取締役、山手 重則(やまて しげのり)氏に、早速詳しい話を聞いた。
・一つひとつの作品をじっくり鑑賞できる個展形式の写真コミュニティ
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけから、お聞かせください。
手軽に「今」を共有できる場所である既存のSNSは、写真を作品として公開する場所には、ふさわしくないのではないか、という考えが「Coten」の出発点です。
無数の「今」が飛び交うSNSでは、せっかくの自信作が、タイミングによってはほとんど誰にも見てもらえないまま、タイムラインに埋もれてしまうことになります。また、見る側もタイムラインを追いかけながら、一つひとつの投稿をじっくり見る余裕がない、という問題もあります。そのような状況を改善するための仕組みとして、個展形式の写真コミュニティを作ろうと考えました。
Q2:リリースから1週間で個展開催数が100点を突破したとのことですが、この反響について、どう思われますか。
2週間に一度しか投稿できず、しかも複数枚の写真を選んで投稿しなければならないという高いハードルにも関わらず、多くの方にご投稿いただけて、大変喜ばしく思います。
「Coten」は投稿数を抑えるような仕組みになっているので、少なくとも最初は苦戦するだろうと考えていましたが、予想を上回る反響を得ることができました。ただし、始まったばかりでまだまだこれからですので、より多くの写真好きな方々に気に入ってもらえる場所に育てていけるよう、使い勝手の向上や、魅力的な機能の追加などに努めていくつもりです。
・“本気の写真”を公開する場
Q3:Instagramを筆頭に、ネットの中にはいつ、どこでも写真を鑑賞する場があふれています。それらと一線を画すために、どのような存在でありたいと思われますか。
作品として公開したい本気の写真は「Coten」で、日常的なコミュニケーションとしての写真はその他のSNSで、という立ち位置を確立したいと考えています。
写真が好きな人たちの"とっておき"だけが集まる場所を作ることができれば、既存のSNSとも共存できますし、写真を撮ることが好きな人はもちろん、写真を見ることが好きな人にも楽しんでもらえるコミュニティになるのではないかと思っています。
Q4:サービスの今後の展開について、教えてください。
「Coten」は、写真撮影を趣味とする人たちが楽しめる場所として、また、写真家になりたいと考えている人に、その第一歩を踏み出してもらえるような場所となることも、同時にめざしています。
その点を踏まえ、個展というコンセプトを生かした機能の追加や、イベントの開催等を計画しております。具体的には、テーマを設定して個展コンテストを開催したり、展示した個展の写真を売買できるサービスの提供などを検討中です。
SNSとは異なる役割。それが、「Coten」に課せられた使命だ。きっと多くの秀作が、ここから羽ばたくことだろう。(取材・文 乾 雅美)
Coten