専門知識を必要とせず、誰でも手軽にロボットを製作できるという本品。プログラミングキットがはやっているとはいえ、国内のクラウドファンディングでここまで反響を呼ぶのは、やはり異例。人気の理由は、一体どこにあるのだろうか。
開発を手がけたのは、昨年9月に設立したばかりのスタートアップ、keigan。代表取締役の徳田 貴司(とくだ たかし)氏に、話を聞いた。
・手軽なロボット製作を実現する直感的なモーター
Q1:まずは、このような製品を開発するに至ったきっかけから、お聞かせください。
発端は、総務省の主催している“異能Vation(独創的な人特別枠)”という制度に採択された、「視覚ジャックシステム」という研究です。研究課程において、「ロボットなどの動きを実現するためのモーターを、もっと簡単に、直感的に誰でも使うことができれば、面白く社会の役に立つのでは?」という発想に至りました。
また、もともと電機メーカーでコピー機の設計開発をしていたのですが、当時から使い勝手のいいモーターがないと、常々思っていました。このような経緯から 、昨年9月に会社を設立し、空間的な制約がなく、付けるだけで自由にロボットを作ることができる商品として、「Keigan Motor 」を発表したのです。
Q2:製品の特長と仕組みについて、改めて教えてください。
「Keigan Motor」は、驚くほど簡単にロボットや動くものが作れるインテリジェントモーターです。特長は3つあります。第1に、今までモーターの制御に必要だった機械工学・プログラミング等の専門知識がなくても簡単に使うことができます。
さらに、複数の製品を組み合わせることで複雑な動きを実現し、誰でもロボットを作れるようになります。手で動かした動きを、記憶することも可能です。(中略)
「Keigan Motor」は、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアもサポートしますので、プログラミングができる、できないに関わらず、ロボットのプロトタイピングを実現します。
・さまざまなアイディアを短時間で形に
Q3:本品を使うことで、ユーザーはどのようなメリットを得られるのでしょうか。具体的な活用例と併せて、教えてください。
「Keigan Motor」を使うと、自分の動きのアイデアを、短時間で形にできます。例えば、精密に角度位置を制御するので、簡単なものでは、カメラの視点を思い通りに動かすためのロボットや、ターンテーブルなどを作ることができます。(中略)専用アプリを利用すれば、インターネットを介してモーターを制御できますので、遠隔操作ロボット(テレプレゼンスロボット)としての活用も可能です。
ビジネス向けでは、モーションコントロールを利用した自社サービスの開発や、ロボットの開発において、短時間でプロトタイピングを行うための強力なツールとして、お使いいただけます。また、大学など研究開発現場における実験や試作にも、幅広く使うことができます。
Q4:今後の展開について、教えてください。
現在は日本と海外で、クラウドファンディングを行っています。「Keigan Motor」を作るには、金型や部品代が必要で、そのための支援をお願いしています。
今は量産化に向けて、7月の製品発送を目処に、中国や国内工場で打ち合わせを進めているところです。その後はインターネット等を通じて、一般販売を行う予定です。いろいろな方から、「こういうモーターがほしい」という要望を頂戴していますので、今後はラインナップを増やして、対応できるようにしていきます。
Kickstarterでも着々と支持を得て、すでに予定額の半分近くを達成済み。早期割引価格は、Kibidangoで3万1320円、Kickstaterなら279ドル(約3万1650円)から。早目の購入が吉だ。(取材・文 乾 雅美)
Keigan Motor