今回紹介するチュニジア発の「Tyer Wind」は、そんなイメージと一線を画す、ちょっと不思議な形状をしている。というのも、“ハチドリ”の羽のような形なのだ。
・長時間滞空できるハチドリから着想
ハチドリは羽ばたきながら、長期間にわたって同じところに滞空できるのが大きな特徴。
ハチドリの羽のような2枚のブレード部分が振り子のように動く。これが羽ばたき滞空するハチドリの姿にソックリなのだ。
開発者の1人、Anis Aouini氏は、自然界の空飛ぶものの中でももっとも効率よく飛ぶハチドリを観察し、“Aouinian 3D kinematics”というブレードデザインを開発した。“直線運動”を“回転運動”へと変化させることで、エネルギーの効率化を図ったという。
・コンパクトサイズで騒音も少ない
カーボンファイバー製の垂直軸羽2つで構成される「Tyer Wind」のタービンは、長さが1.6メートルで、最大回転領域は3.56メートル。普通の3枚羽の水平軸タービンに比べると、コンパクトに収まるのがメリット。ただし、発電効率は1キロワット程度で若干劣る。
場所効率としてコンパクトな上に、3枚羽タイプに比べると騒音も少なく、視界を妨げにくい。周辺を飛ぶ鳥にもより安全だ。コンパクトだからこそ、密集して建造しやすいというメリットもある。
・より大きいスケールの開発も視野に
現在はテスト段階にあり、発電効率、空気力学的挙動、素材の耐久性、マスト部分にかかる負荷などのデータを集めている。
チームとしては、より大きいスケールのバージョンの開発も検討中で、沿岸部、沖合の風力発電施設への活用も見込んでいるという。
Tyer Wind