米国のトランプ大統領がサインした中東・アフリカ7カ国出身者の米国入国を制限する大統領令による波紋が広がっている。
対象国出身の技術者などを抱える米国の大手IT企業は一斉に反発し、対象従業員にサポート措置を講じているようだ。空き部屋マッチングAirbnbのCEOは入国拒否にあった人たちに無料で部屋を提供する策を打ち出した。
・米国各地でデモ
大統領令は、イスラム過激派対策の一環。シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国が対象とされ、この7カ国の出身者(難民含む)は米国に入国できないというものだ。
今回、この大統領令により、米国に入国できない、または米国行きの飛行機に搭乗できないケースが続出。これを受け、米国各地の空港などでは大統領令に反対するデモが展開された。
・法的サポート展開
今回の入国制限令にはIT業界も声をあげている。AppleのCEO、Tim Cook氏は従業員へのメッセージで「Appleは移民なしに成り立たない」とし、「私たちが支持する政策ではない」と批判した。
同社ではさっそく、大統領令の影響が及ぶ社員への法的サポートを開始。同様の従業員向けサポートはGoogleやMicrosoftなど他のIT企業も展開している。
・部屋無料提供に「いいね!」19万
一方、反発の行動に出ているトップも。AirbnbのCEO、Brian Chesky氏は自身のツイッターアカウントで、米国滞在を許可されない人向けに無料で部屋を提供すると明言。このツイートは11万回以上リツイートされ、19万近くの「いいね!」を集めている。
また、Googleの共同創設者Sergey Brin氏は、サンフランシスコの空港での抗議活動に参加した。
FacebookのMark Zuckerberg氏は「私の祖父母はドイツ、オーストリア、ポーランド出身者。(妻の)プリシアの両親は中国とベトナムの難民だ。米国は移民で成り立っている国。これを誇りに思うべきだ」と発信した。
米国のIT企業の成長は優秀な技術者あってこそ。その技術者には移民・外国人が多く含まれている。今回の大統領令は企業、そして米国の繁栄を揺らがすものとみるIT業界トップの言動から目が離せない。