ペットブームの裏側に潜む、悲しい現実。近年はその問題が浮き彫りになり、処分数は少しずつ減少しつつある。しかし、解決にはまだまだ程遠い。不当な殺処分を減らすために、やるべきことは山ほどあるのだ。
数ある活動の中で、注目したいのがこの「OMUSUBI(お結び)」だ。保護犬猫と飼いたい人を結ぶ、マッチングサービスとしてスタート。12月1日時点で保護団体10、約200匹の犬猫を登録。閲覧・検索によって、家族に迎えたい子を探せるようになっている。
提供元は、2015年創業のシロップ。主にペットに関わるインターネット関連事業を手がけてきた同社が、このようなサービスを始めるに至ったのはなぜか。代表取締役の大久保 泰介(おおくぼ たいすけ)氏に、詳しい話を聞いた。(※参考資料:平成27年度 環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況)
・犬猫の殺処分をインターネットの力で解決したい
Q1:まずは、サービス提供のきっかけから、お聞かせください。
ペットの情報サイト「ペトこと」を運営する中で、犬猫の殺処分問題に取り組まずにペット事業を進めることはできないと、考えたことがきっかけです。
殺処分数は年々減少しているものの、いまだ年間8万匹以上、殺されているのが現状です。全国の動物愛護センターや保護団体で活動をしている方々のお話を伺ううち、横の連携や情報発信の仕方など、取り組むべき多くの課題があると感じました。インターネットの力で、それらを解決したいと考えて作ったのが、保護犬猫と飼いたい人のマッチングサービス「OMUSUBI」です。
Q2:サービス構築に当たって、最も苦労したのはどんなところでしょうか。
「OMUSUBI」は、飼いたい人だけではなく、保護団体で活動する方もユーザーです。そういった方々が必要とする機能を実装し、かつ使いやすいサービスであるべきだと考えています。
そのため地道ではありますが、さまざまな団体の代表や、運営スタッフの皆さんのお話を伺うことを重視しました。時にはエンジニアが出向き、何が求められているのかを自ら確かめ、オフィスに戻ってすぐ手直しする、といったこともありました。
・飼い主のための飼育のトータルサポートサービスを提供予定
Q3:リリースから1か月近く経ちますが、ユーザーからの反響はいかがでしょうか。
「きれい」「かわいい」「見やすい」といった反響をいただいています。一方で飼いたい人や保護団体の方から、「こういう検索ができるといい」「こういった機能がほしい」など、ご意見・ご要望もたくさん頂戴しています。(今後は)保護犬猫に飼い主がどんどん見つかるような機能を、追加していくつもりです。
Q4:今後の展開について、教えてください。
まずは、保護団体の方が保護活動に専念できるように、ブログ機能や譲渡会の告知機能、犬猫の情報管理がしやすくなるような機能の開発を進めていきます。そして、「OMUSUBI」を通じて譲渡を加速させていくとともに、2017年は飼い主に対するサービスも、手がけていく予定です。
具体的に述べると、「情報を得る」「専門家や飼い主に相談する」「最適な商品を提案する」「購入する」を、一気通貫で提供できる飼育のトータルサポートサービスです。そのために、サプリメントの開発や獣医師へのネット相談サービスなども、視野に入れています。「人が動物と共に生きる社会」の実現。それが、シロップの目標です。
(取材・文 乾 雅美)
OMUSUBI