・美術館所蔵の彫像にプロジェクションマッピング
美術館の展示品とプロジェクションマッピングを組み合わせ、アートの多様な側面を演出しようという試みが、フランスの美術館“Fine-Arts Museum of Lyon”でおこなわれたという。
デジタルプロダクションStudio BKの所属クリエイター・Arnaud Pottier氏が、2015年にLyonで開催されたアートと文化の祭典“Mirage Festival”に招かれ、プロジェクトに取り組んだ。
今回フォーカスされたのは館内所蔵の3つの彫像。James Pradier制作“Odalisque”、Antoine Etex制作“First funeral”、Laurent-Honore Maqueste制作“Perseus Slaying the Gorgon”だ。
・幻のはずなのに、生々しく見える
彫像の前には小さなプロジェクターが配置され、彫像に照明が照射される。一見すると、まだら模様にも見える照明効果が彫像の表面を覆い、彫像の輪郭が強調される。
だが、少ししてからよく見ると……彫像の目の部分に“瞳”が浮かび上がり、まばたきを始め、観客を見返す。まるで生きているかのようだ。
通常時は穏やかな表情に見える“Odalisque”の女性像の表情も、ライトの具合によって、なぜか悪意があるような、不吉な表情に見えてくる。
ギリシャ神話の英雄Perseusが倒そうとしている怪物Gorgonの彫像の目は、いつも以上に恐ろしさに満ちている。
・アート作品の新たな魅力を引き出す
普段見慣れたアート作品の、まったく別の側面を引き出したり、演出を加えることで、見るものに違った印象や物語を推測させるところが実に面白い。
1つのエンターテイメントや表現の手法として確立しつつあるプロジェクションマッピングのもつ可能性を感じさせる試みである。
Studio BK