起業から4年目を迎える今年。同社は新たな挑戦へと乗り出す。順天堂大学医学部眼科学講座の研究促進を目的としたiPhone用アプリケーション、「ドライアイリズム」のUX設計・UIデザインと実装に協力。11月2日から、晴れて配信を開始した。
どのような経緯を経て、ここまで来たのか。取材に応じてくれたのは、アカウントマネージャー/UXデザイナーの野浪 義也(のなみ よしや)氏。まずは、会社の歴史から紐解いてみよう。(写真:向かって左からiOSエンジニアの李氏、順天堂大学 猪俣氏、野浪氏)
・順天堂大学からの依頼で実現したプロジェクト
Q1:御社の代表である菊地社長は、18歳で起業されたそうですね。創業までの経緯について、お聞かせいただけるでしょうか。
オハコ代表の菊地は、高校時代から個人でウェブデザイナーの仕事をしていて、大学(慶應大学SFC)進学後も、ベンチャー企業でのサービス立ち上げなど、数多くのプロジェクトに、デザイナーとして関わってきました。
そういった刺激的かつチャレンジングな環境での経験から、「デザインを通して、人々がより豊かな気持ちになるような体験を、一つでも多く作りたい」という思いが強くなりました。(そんな思いから)UIUXにフォーカスしたデザインカンパニー、オハコを立ち上げたのです。
Q2:今回、順天堂大学のiPhoneアプリ「ドライアイリズム」のUIデザインと開発に、御社が協力するに至った背景について、お聞かせください。
リサーチキットは、2015年3月にアップル社が発表した医療研究のためのアプリケーションフレームワークで、iPhoneアプリを用いて収集したデータを、ビッグデータとして各医療分野の研究に生かそうというものです。
今年の春、順天堂大学眼科の猪俣武範先生より「リサーチキットを使ったアプリを作りたい。ただし、データを集めるためだけのアプリではなく、使ってくれるユーザーにも価値のある体験を届けたい。そのためにオハコの力を借りたい」とお声をかけてもらい、今回の共同開発が実現しました。
・気持ちが上向くデザインで、心と世界を動かす
Q3:開発にあたって、最も苦労したのはどんなところでしょうか。
ドライアイ研究のためのデータ収集というアプリ本来の目的と、ユーザーが使うアプリとしての体験価値。この2つのバランスに気を使いながら、誰もが使いやすいデザインを形にするところに、最も多くの時間をかけました。
例えば、アンケートの質問数を極力少なくして、ユーザーの負担を軽減したり、iPhoneのインカメラを用いたまばたきチェックのように、ちょっとしたゲーム要素を取り入れたりと、猪俣先生と何度もディスカッションを重ねながら、研究と体験価値を両立できるようなアプリをめざしました。
Q4:今後の展開で、何か決まっていることはあるのでしょうか。
オハコでは今後も医療、IoT、人工知能のような新たなIT領域におけるUIUXデザインに深くコミットしていくことで、サービスやプロダクトが持つ本来の価値がダイレクトにユーザーに伝わるような仕組み作りを、パートナー企業と共創していきます。
オハコのビジョンである「気持ちが上向くデザインで心を動かし、世界を動かす」を少しでも多く実現できるよう、これからもさまざまなプロジェクトに取り組んでいきたいと思います。
「ドライアイリズム」は、研究に対して同意をすれば、誰でも利用可能なアプリ。まばたきや視力、生活習慣などを元に、判定する。もしやと思う人は、ぜひ試してみて。(取材・文 乾 雅美)
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