「Googleマップ」などの地図アプリを使えば、目的地までのルートを瞬時に調べることができるが、モバイル端末に搭載されているGPSでは、半径9メートル程度の誤差が生じてしまう。
それゆえ、視覚障がい者は、バス停の周辺まで移動できたとしても、乗車位置にたどり着くことができず、バスに乗りそびれてしまうケースも少なくない。
・バス停の精緻な位置情報をクラウドソーシングで集約
米ボストン郊外にあるパーキンス盲学校(Perkins School for the Blind)は、グーグルから75万ドル(約8,250万円)の助成金を受け、地元の公共交通機関事業者であるマサチューセッツ湾交通局(MBTA)と提携し、クラウドソーシング型の視覚障がい者向けナビゲーションアプリ「BlindWays(ブラインドウェイズ)」をリリースした。
健常者はこのアプリを使って、バス停の位置を精緻にマッピングし、木やベンチ、郵便ポスト、消火栓など、乗車位置付近の印になりそうなものを投稿。
視覚障がい者は、iOS対応デバイスに搭載されている音声読み上げ機能「VoiceOver」を使って、健常者から寄せられた投稿データを音声化し、この音声にしたがって移動すると、バスの乗車位置までたどり着くことができる仕組みだ。
現時点では、ボストン市内のバス停を対象としているが、今後は他の都市にも展開していく方針だという。
・クラウドソーシングを通じたヒトの力でテクノロジーの限界を越える
「Blindways」は、クラウドソーシングによって、不特定多数の人々の力を集め、テクノロジーと視覚障がい者のニーズとのギャップを見事に解消している点が秀逸といえよう。
Blindways