都市では空き家率が上昇すると、居住快適性が失われ、町が荒廃する危険性があるという。放火や空き巣といった犯罪も、懸念される。自治体も、頭を悩ませているところだ。
今回ご紹介するのは、そうした問題にスポットを当てた運営サービス。全国の空き家を流通化するプラットフォーム「カリアゲJAPAN」だ。はやりのマッチングサービスを軸に、空き家問題解決に挑む。
提供元のあきやカンパニーは、不動産管理業を中心に、事業を展開してきた気鋭の会社。代表取締役の内田 勝久(うちだ かつひさ)氏が、取材に応じてくれた。(※平成25年住宅・土地統計調査より抜粋)
・築30年以上の空き家を目的に合わせてフル活用
Q1:まずはさかのぼって、サービス提供のきっかけからお聞かせください。
自分たちで空き家を借りて改装し、運営し始めたのがきっかけです。その後いくつかの相談を受ける中で、自分たちでは借りられない物件(遠距離や用途が理由)が増えてきたことと、この仕組みを共有して、事業機会を増やしていきたいと、考えるようになりました。
同時に、当時全国で始まりつつあった空き家バンクを見ていて、もう少し一元化したサービスになったらいいのにと、はがゆく思っていました。そこで全部は無理だが、そのうちの数パーセントだけでも光を当てることができればと、サービスをスタートしたのです。
Q2:「カリアゲJAPAN」の中には3つのサービスが存在しますが、それぞれについて詳しく教えていただけるでしょうか。
「カリアゲ」は、築30年以上の空き家を、借主がそのままの状態で借り上げ、改修して活用するシステムです。空き家オーナーは、改修費用の負担なく物件を貸し出し、家賃収入を得ることができます。
「カリアゲJAPAN」では、こうした空き家の物件情報を、空き家マッチングサービス「カリアゲル」に掲載し、「所有する空き家を何とかしたい」というオーナーと、「空き家を使って何かを始めたい!」という借主との出会いの場を提供します。
また、空き家の借り上げを希望するオーナーの相談窓口「カリアゲテ」や、空き家活用のためのアイデアと知恵をシェアするメディア「カリアゲタ」も展開し、空き家活用を促進しています。
・一軒でも多くの空き家に光を当てたい
Q3:現在のサービス利用状況とユーザーからの反響について、教えてください。
現在は、空き家を貸したいというお客さまより、空き家を借りて何かしたい、という問い合わせの方が多い状況です。私たちのサービスが、空き家オーナーにきちんと届いていないということもありますが、(それ以前に)空き家を積極的に活用しようという人が、まだまだ少ないのだと思われます。
私たちのサービスは、日本全国を対象にしており、地方のカリアゲプレイヤーが対応しています。そのネットワークは少しずつ増えていますが、まだ対応できていない地域も多く、お客さまからの依頼にお応えできないのが実情です。
Q4:年々増加する日本の空き家。この問題解決のために、御社のサービスは今後、どのように発展していくのでしょうか。未来の展望を、お聞かせください。
地方では昨今、空き家を利用して、新しいビジネスや地元に根差した事業をスタートさせている人たちがたくさんいます。事業のスタートアップには空き家を「カリアゲテ」、自分たちで改装して、発信していくという取り組みはとても相性がよく、上手に活用している事例も多くあります。
私たちの役割は、こうした地方の事例や、プレイヤーのサポートをしながら、全国の空き家情報をあぶり出すことです。そして、日本中の仲間と知恵を絞って、一軒でも多くの空き家に光を当てていきたい、と思っています。
(取材・文 乾 雅美)
カリアゲJAPAN