その結果、世界で11億人が安全な飲用水を入手できない状況におかれている。
そこで、波の力を利用し、海水から飲料水をつくりだす画期的なソリューションが、浮標型の海水淡水化装置「SAROS」だ。
・波のエネルギーで海水を飲用水に浄化するソリューション
米ノースカロライナ大学シャーロット校の卒業生によって創設されたスタートアップ企業「SAROS Desalination」は、2013年から2年以上にわたって「SAROS」の研究開発をすすめてきた。
「SAROS」は、波の垂直の動きから得られるエネルギーでポンプを作動させ、海水を高圧で送り込み、水以外の不純物が浸透しない“逆浸透膜”で濾過することで、ウイルスやバクテリア、塩、砂を取り除き、清潔な飲用水に浄化する仕組みとなっている。
海水の淡水化に必要なエネルギーはすべて波力からまかなうため、送電系統とつながっていない“オフグリッド”な環境でも導入できるのが特徴。
電力インフラが未整備な発展途上国の離島や沿岸地域をはじめ、災害時の浄水装置としての需要を見込んでいる。
・近い将来、実用化へ!?
「SAROS Desalination」は、2016年7月、ノースカロライナ州南部の湾岸都市ウィルミントンにもオフィスを開設し、海上での「SAROS」の実証実験に本格的に着手した。
現在、2万5,000万ドル(約262万円)を目標に、クラウドファンディングサービス「インディーゴーゴー(Indiegogo)」を通じて資金調達を実施している。
SAROS Desalination