NASAの元チーフを筆頭に、米コーネル大学の航空宇宙工学研究室メンバーらから成る研究チーム「Cislunar Explorers」によって、水で動く新たな衛星が開発された。
ちなみに、チーム名の「Cislunar」は「地球と月との間」を意味する造語である。
・水で動く衛星
注目の衛星は手で抱えられるほどの大きさだ。ボディ全体は容易に入手可能な材料で出来ている。
その動力源は地球上に潤沢に存在する水であり、L字型をした2つのタンク内には水が貯蔵されている。
電気分解により水素ガスと酸素ガスが発生して一気に燃え上がり、30分から1時間かけて互いに離れることで、推進力が生み出される仕組みとなっている。最終的には、液体の水と可燃性のガスに分離される。
その分離した2つの衛星は宇宙空間において徐々にお互いから離れつつ、最終目的地である月へ向かって進んでいく。
・古代探検家の手法を踏襲
さらに、その衛星は太陽の光によっても支えられている。
宇宙船にはカメラが搭載されており、太陽や地球、月の写真をカメラを使って撮影し、天体暦を参照しながら見かけの大きさや天体間の距離を比較したりする。
言わば、古代の探検家の手法をとっているというわけだ。
・最終目標は月の軌道に乗せること
研究チームの最終目標は、世界で初めて月の軌道に衛星を乗せることである。
それを実現するためにも、数々のコンペティションを勝ち進む必要がある。
順調にいけば、2018年初め、NASAが開発中のスペース・ローンチ・システム(SLS)のロケットに搭載しての打ち上げを決行予定であり、同年後半には地球周辺での通信が試行される。
Cornell University