・当初の構想は、指紋認証で起動する自動運転自動車
「Titan」というプロジェクトで、オリジナルビジョンとしては、ドライバーの指紋認証で車を起動し、ハンドルとペダルは搭載されてはいるものの、現在の自動運転技術よりさらに踏み込んだ技術確立を目指す、という内容とみられている。
2017年度までに技術の実用性を立証し、2019または2020年内に提供開始に着手することが使命だったが、ここに来て暗雲が立ち込めてきているようだ。
・プロジェクトリーダーの辞職、従業員の大量解雇
2015年終わりに、プロジェクトのリーダーシップに重大な失策が認められたといい、プロジェクトリーダーのSteve Zadesky氏が会社を辞職したという。後任の指導者として、ハードウェア開発部門シニア・バイス・プレジデントのDan Riccio氏、Bob Mansfield氏が任命されたとみられる。経営陣としては、今後の方針を含め、プロジェクト自体の見直しを迫られているのが現状のようだ。
Mansfield氏は、査定評価を実施したところ、すでに電気自動車および自動運転技術の草分けとして知られるTesla社と直接競合するのは得策ではないと話している。
「Titan」プロジェクトには大勢の従業員が雇われているが、8月には第1回、9月には第2回の解雇が実施されたとみられ、車のOSやテスト実行を管理するソフトウェア技術者120人以上、車のシャーシやサスペンションなどの部品や装置に関わる数百名のハードウェア技術者が姿を消したといわれている。
AppleのソフトウェアマネージャーのJohn Wright氏もその1人。代わりにBlackBerryのカープラットフォームQNXを作成したDan Dodge氏が、今後重要な役割を果たしていく見込み。
・2017年内に今後の方向性を決断
残ったメンバーによると、今後は単なる自動運転技術の確立だけでなく、実地試験で必要なセンサーやシミュレーターの開発にも取り組んでいく意向だ。また、自動車産業に関する法律対策の取り組みも始まっている。
2017年内に今後のプロジェクトの方向性を決断する必要があり、当初の構想より規模が大きく縮小されたプロジェクトになってしまうかもしれない。だが、今までさまざまなイノベーションを起こしてきたApple、その底力に期待を残したい。
Project Titan