・本のページで汚水をろ過し、キレイな水に
カーネギーメロン大学のポストドクターTheresa Dankovich氏が開発中なのは、銀と銅のナノ粒子を染み込ませた分厚い紙のシートでできた本のページ「pAge Drinking Paper」。これを使って汚水をろ過することで、微生物を99.9パーセント除去することができるという。
氏が博士号取得のため、カナダのマギル大学にいた頃からこの技術の開発に着手。その後、 バージニア大学の“Center for Global Health”在籍中にも研究を続け、“ろ過本”の生産と配給に向けて、非営利企業「pAge Drinking Paper」を設立した。
・1冊で人間1人用4年分を浄水可能
「The Drinkable Book」という本の各ページは2つのフィルターから成り、1つのフィルターで最大100リットルの水を浄水することが可能。1冊の本で人間1人用4年分の水を処理できるという。
本から破り取ったフィルターは、バケツの上に置いた箱型のホルダーの上にセットし、上から汚水を注ぐ、という流れだ。
・フィールドテストを進め、製品化を目指す
これまで、南アフリカ、ガーナ、ケニア、ハイチでおこなったフィールドテストでは、生水から取水したバクテリア含有量の高い水をろ過したところ、99.9パーセントの清浄化に成功した。
銀と銅の粒子が漉し取った浄水レベルは、Environmental Protection Agency(環境保護局)、World Health Organization(世界保健機関)の安全基準値を下回る良好な結果だという。この先さらなるフィールドテストを重ね、本のデザインの洗練化を進めていく意向だ。
このレポートは、ボストンで開催された第250回National Meeting & Exposition of the American Chemical Societyで発表されたもの。
本の形なので保管や持ち運びがしやすいのがメリット。途上国の衛生状況の改善につながりそうだ。技術の確立と普及が待たれる。
The Drinkable Book
American Chemical Society