いわずもがな、大気汚染物質の排出量を可能な限り減らすことが喫緊の課題だが、一方で、やむをえず発生してしまうこれら物質を、より有効に活用する手段はないだろうか。
・大気汚染物質を“原料”とする世界初のインク
インドのスタートアップ企業「Graviky Labs」は、シンガポールのビールブランド「Tiger Beer(タイガービール)」と提携し、世界で初めて、大気汚染物質をリサイクルしたインク商品「Air Ink(エア・インク)」を開発した。
「Graviky Labs」の独自技術により開発された円筒の専用装置「Kaalink」を、自動車やトラックなどの排気管に装着し、排出ガスを収集。
収集された排気ガスは、微量重金属や発がん物質などを除去した後、精製されて炭素色素となり、インクや塗料に利用される。
約40分間のディーゼル自動車の排気ガスで7ミリ極細マーカー1本、2,000分間(約33.3時間)なら600ミリリットルのスプレー缶1本をつくることができるという。
・大気汚染物質が再生資源に!?
「Air Ink」の商品は、香港の新進アーティストに無償で提供され、グラフィティなど、クリエイティブなアート作品の制作に使われ、街を活気づけている。
世界保健機関(WHO)のデータによると、インドや中国をはじめ、大気汚染が深刻な課題となっている国々は少なくない。
自動車やトラックのみならず、様々な分野で「Air Ink」の仕組みが応用できれば、大気汚染物質が大気中に放出されてしまう前に、有益に再利用する道が開けそうだ。
Air Ink