9月半ばにリリース予定の「Cansell(キャンセル)」は、そうしたフロンティア精神にあふれるサービスの1つ。キャンセル料のかかるホテル予約の権利を、他の人に販売できるというかつてないウェブサービス。消費者と宿泊施設、双方の無駄をなくす、画期的なシステムとなりそうだ。
提供元のCansellは、今年創業したばかりのスタートアップ。代表取締役の山下 恭平(やました きょうへい)氏に、早速詳しい話を聞いた。
・宿泊予約を譲渡することでキャンセル料支払いを節約
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至った経緯から、お聞かせください。
スタートアップを始めたら、自分の人生の数年~十数年を費やすことになるので、どうせやるならワイルドでワクワクするような事業をしたい、と思っていました。1月の創業当初は違う事業をやる予定でしたが、そこから4転5転して(笑)、今の事業にたどり着いたのです。
未知数な部分も多く、勇気もいりましたが、だからこそスタートアップが取り組むべき課題であり、市場だと思ってチャレンジしてみました。
Q2:「Cansell」とは、どんなサービスなのでしょうか。詳細について教えてください。
「Cansell」は、キャンセル料がかかってしまう宿泊予約の権利を売買できるウェブサービスです。本来キャンセル料を支払うはずだった宿泊予約の権利を、そのホテルに泊まりたい人に販売・譲渡できるようなプラットフォームを提供することで、キャンセル料支払いの悩みを解決します。
通常の個人間取引と異なり、出品される予約は内容に間違いがないかなど、スタッフがすべて確認・審査を行います。また、転売目的の出品を防ぐため、購入価格より高い値段で売れないように制限しているのも、大きな特徴です。
・まずは出品者を集めること
Q3:サービス開始にあたって、最も苦労したのはどんなところでしょうか。
今までにないサービスのため、構想をどうサービスに落としこむかという点には、大変苦労しました。
そもそもビジネスとして成り立つだけの課題(=市場)があるのか、法的に問題がないのかという点だけではなく、「Cansell」があることでユーザーが本当に喜んでくれるのか、宿泊業界にどう貢献できるのかなど、さまざまな視点から検討を重ね、サービスに落とし込みました。
まだまだ改善の余地がありますが、しっかりとユーザーの声を聞きながら、どんどんサービスを良くしていきたいと思っています。
Q4:プレビュー版は9月15日公開だそうですが、それまではどのようなステップを踏まれるのでしょうか。公開後の展開と併せて、教えてください。
公開前後に関わらず、出品者を集めるというのが、当面の課題です。「モノを売る」というのは、当たり前の発想として根付いていますが、「宿泊予約を売る」という新しい価値観・発想を生み出す必要があるため、出品者集めには相当苦労すると思っています。時間はかかると思いますが、試行錯誤しながら一歩ずつ、前に進んでいく所存です。
また、「Cansell」を自分たちの力だけで成功に導くのは、不可能だと思っています。積極的に出資等も受け入れ、いろいろな方にご支援・ご協力いただきながら、みんなでこの「権利の二次流通市場」にチャレンジしていくつもりです。
サービスに対する思いを、生き生きと語ってくれた山下氏。新たな価値観とともに、宿泊事業に切り込んできた「Cansell」の、今後の動きに期待したい。(取材・文 乾 雅美)
宿泊予約の権利売買サービス Cansell