たとえば、高濃度の鉛で汚染された水道水を摂取すると、ヒトの脳や腎臓、神経系統などに害をもたらし、とりわけ、小さい子どもや妊娠中の女性には、健康被害へのリスクが高まるといわれている。
・検査キットとスマホアプリを組み合わせた水質検査ソリューション
米国の神経学者ショーン・モンゴメリー(Sean Montgomery)氏は、専門知識のない一般ユーザーでも家庭で簡単に水質検査できる「CitizenSpring(シチズン・スプリング)」を開発した。
「CitizenSpring」では、スポイトでガラス瓶に水を移し、ガラス瓶の中の水に浸した試験紙をスマートフォンで撮影すると、水中の鉛の濃度が環境保護庁(EPA)の水質基準値の範囲内かどうか、自動で診断できる。
また、「CitizenSpring」は、検査を実施したユーザーがこれらの検査結果をクラウド上にアップロードし、水の安全性の有無を広く共有できる、クラウドソーシング型のオンラインマップも開設。
近隣住民は、このオンラインマップを閲覧することで、安全な水が得られるスポットを簡単に見つけることができる。
・住民が自ら環境データを計測し、共有し合う時代に!?
住民が大気汚染状況をモニタリングするカナダの「INHALE」や、英国の大気環境モニタリングツール「CleanSpace」など、一般ユーザーが主体的に家庭や地域の環境データを測定し、共有し合う動きは、すでにいくつかみられる。
「CitizenSpring」は、このような仕組みを水質汚染の可視化に応用した事例として、興味深い。
CitizenSpring