・体内に挿入し、リアルタイムの生体情報をモニタリング
やや大きめの砂粒にも見える1立方ミリメートルほどの大きさのセンサーが体内に侵入すると、超音波の振動とともに末梢神経や筋肉、さらにはさまざまな器官の情報がリアルタイムで読み取られる仕組みとなっている。
さらに開発が進めば、皮膚上のパッチに超音波を送信し、治療時に必要に応じて生体情報を得ることも可能となるそうだ。
超音波の振動は体内のあらゆる部位に届くため、例えば電波が届きにくい身体の深部に対して高強度の放射を行う必要などない。電波で動く従来のセンサーの弱みを完全に払拭した新デバイスと言えよう。
・“電子薬”としての側面も
これは単なる生体情報の記録装置ではない。
神経や筋肉を刺激して、てんかんなどの病気を治したり、あるいは免疫系を刺激し、炎症を抑えたりといった、いわゆる“電子薬”としての役割も期待されている。
特に神経系は非常にデリケートであるため、センサー挿入時のダメージが懸念されるが、体内の組織や器官を傷つける恐れはないという。
・バッテリー不要
センサー内は圧電結晶構造になっており、体外からの超音波振動を電気に変え、神経や筋繊維と接触するトランジスタに電流を供給する。
したがって、バッテリーを充電するために頻繁にセンサーを体外から取り出す必要はない。
とは言え、現時点ではセンサーの寿命はもって1~2年程度であるという。今後さらなる改良を経て、体内で劣化することなく何十年にもわたり機能し続けるセンサーとして生まれ変わるだろう。
UC Berkeley