スタジアムやコンサート、イベント会場では、しばしばWiFiネットワークがつながりにくくなり、インターネットへのアクセスが非常に遅くなったり、切断されたりしてしまうことも多い。
数多くのワイヤレスルーターをあちこちに設置する必要があり、お互いの電波が干渉しあってしまうためだ。
・MITが開発した独自のアルゴリズム
ネット環境が必須な現代人のために、マサチューセッツ工科大学のコンピューター科学、人工知能研究室のチームが、問題解決に取り組んでいる。各ルーターがうまく協働するよう、ネットワークを管理する手法「MIMO」を開発中だという。
各ルーターのシグナルを解析する独自のアルゴリズムが働き、複数のルーターが発信する情報を、同じ1つのワイヤレススペクトルで送信することができるため、ルーター同士が干渉しあってしまう現象を防ぐ。
・最大で10倍の通信速度を実現
チームがおこなった実験では、この方法を使うことで通常の3.3倍のデータ送信スピードが確認された。
また、チームメンバーの1人、Ezzeldin Hussein Hamed氏によると、追加のルーターを設置して実験したところ、10倍の通信速度が達成されたという。
実験ではお掃除ロボットのルンバの上にラップトップを設置するという手法がとられた。ルンバはゴミを集めるために動き回っているが、これは人が常に移動している状況に見立てたため。
まだ、現実のスタジアムや空港のような場所でテストしたわけではないが、もしこの技術が安定供給できるように確立されたら、これまでの常識を塗り変えることになるかもしれない。
・スタートアップを立ち上げ、市場化を目指す
チームでは技術確立のためにスタートアップMegaMIMOを設立しており、今後市場化を目指していく予定だ。こういったシチュエーションは多いので、今後の展開が楽しみだ。
MIMO
MIT News