従来の補聴器は、正面からの声に焦点をあて、その他の音を不要なノイズとして抑制する“指向性”によるものが一般的だが、横や後ろから話しかけられても気づかなかったり、聞きたい音に集中しづらく、脳に負荷がかかり、理解力が低下したり、疲労をもたらすことが指摘されていた。
・周囲360度にわたって様々な音がバランスよく聞こえる
デンマークの補聴器メーカー「オーティコン(Oticon)」は、騒がしい環境でも、周囲の音を自然に聞き取ることのできるハイテク補聴器「Oticon Opn(オーティコン オープン)」を開発した。
「Oticon Opn」は、ユーザーの周囲360度にわたって様々な音やノイズを常時スキャンし、1秒間に100回以上の頻度でこれらの音を分析。
それぞれの音の特徴を捉えた上で、音量のバランスをはかりつつ、不要なノイズを抑制するため、言葉が聞き取りやすくなるのが特徴だ。
ユーザーが顔を向けている先の音のみを集める従来の補聴器と異なり、複数の話者に囲まれ、四方八方からランダムに飛び交う声にも対応でき、騒がしい環境でも、会話の理解が向上するという。
実証試験では、従来の補聴器に比べて、会話の理解度が30%向上し、聞き取りによる脳への負荷が20%軽減されることが明らかとなった。
・自然な“聞こえ”でユーザーの世界を広げる
「Oticon Opn」は、周囲の声や音を過度に妨げず、バランスよく自然に聞き取るための手段を創りあげることで、聴覚に障がいを持つ人々の世界を広げ、より快適なコミュニケーションを実現しようとしている点が秀逸だ。
Oticon Opn