極超音速の移動を可能にする新ロケットエンジン「SABRE」。この開発に欧州宇宙機関が1000万ユーロ(約12億円)もの資金を出資することがこのほど決まり、実用化に向けて弾みがつきそうだ。
・太平洋をわずか2時間で横断
開発を手がけているのは、イギリスの「Reaction Engines Ltd(REL)」。SABREは大気圏内と宇宙の両方で使えるエンジンで、極超音速(音速の5倍以上の速さ)での移動を可能にする。
音速の5倍以上というとマッハ5クラスで、太平洋をわずか2時間程度で横断できるスピード。つまり、日本からだと北米やヨーロッパへものの数時間で移動することが可能になる。
日本から丸1日以上かかる南米へも、半日もあれば移動できるようになるかもしれない。
・大気酸素を使用
まるで夢のようなエンジンだが、鍵となるのが酸素の代わりに大気酸素を燃料に使用する技術なのだという。
大気酸素の活用で積載する燃料を減らすことができ、また大気圏と宇宙の両方に対応する。つまり、通常のフライトだけでなく、宇宙旅行も視野に入ってくる。
・2020年までにデモ完成
REL社によると、SABREの開発にはイギリスの宇宙機関も5000万ポンド(約70億円)拠出する。こうした資金を元に開発を加速させ、デモンストレート用のSABREを2020年までに完成させる見込みとのこと。
SABREが実用化されれば、航空・宇宙産業に革命をもたらすことは必至だ。現代の私たちが、飛行機が登場する以前の航海時代を見るような感覚で、長距離フライトを「過去のもの」として振り返る時代は意外に早くやってくるかもしれない。
Reaction Engines Ltd