この手法を国内で初めて、本格的なサービスとして取り上げたのが、「Refcome(リフカム)」。昨年の事前登録開始時にテッカブルでも紹介しているので、憶えている読者も多いことだろう。
しかし、その後なかなか正式版が発表されず、メディアをやきもきさせたという裏話も。1月の試験運用を経て、ようやくこの7月に正式リリースとなったのだが、いったいこの間、何があったのだろうか。Combinator、代表取締役の清水 巧(しみず たくみ)氏が、自ら取材に応じてくれた。
・さまざまな試行錯誤を経て設計思想を再構築
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけからお聞かせください。
私たち株式会社Combinatorではもともと、スタートアップの仲間集めサービス「Combinator」を運営していました。コンセプトは、“旗を掲げれば仲間が集まる”です。
そのCombinatorを運営する中で、新しい発見が1つありました。それは、「素晴らしい会社は、社員みんなで旗を掲げ、良い仲間を引き連れてくる」ということでした。このような発見をきっかけに、「旗を掲げれば仲間が集まる『Combinator』」から「採用を社員みんなでやる仲間集めにする『Refcome』」へと、歩みを進めるに至ったのです。
Q2:昨年の事前登録開始から正式公開まで、かなりの時間が費やされています。そのあたりの経緯について、お話しいただけるでしょうか。
昨年8月の事前登録開始時点での「Refcome」は、米国で流行している「Jobvite」「StrongIntro」「Roikoi」のように、社員のSNSを読み込んで採用担当者がリファラル採用を推進するものを想定していました。ですが、先行的に営業をしてみた結果、非常にウケが悪かったんですね(笑)。「社員にプライベートなSNSの連携を強制させることは難しい!」といった声が多かったんです。
その試行錯誤の中で、社員が主体的に紹介したい友人に対して招待を送れる招待型にピボットしました。そうすると、営業がどんどん取れるようになってきたので、現在の「Refcome」の設計思想が確定したのです。
・ミスマッチを防止するローコストな採用手段
Q3:リファラル採用は企業の人事にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
有効求人倍率は依然として上昇傾向であり、採用にかけるお金・時間といったコストは、切っても切れない関係となっています。さらに採用担当者には、採用後の早期離職といったリスクとも向き合いながら、さまざまな採用手法を取捨選択することが求められています。
このような背景を踏まえても、リファラル採用はミスマッチを防ぎつつローコストな採用手法として注目されています。明確なメリットに対し、労力をかけずに成功させられるかどうかが、今後の課題になりますね。
Q4:正式公開以降の展開について、教えてください。
「Refcome」は、“採用を社員みんなでやる仲間集めにする”をミッションとしています。今後は、社員自らが「こういった人を新しく採用したい!」と全社に発信できたり、社員間で紹介を促していく仕組みを実現していきます。2016年内に100社、2017年内には500社の利用社数をめざします。
社員が一緒に働きたい仲間を集めてくれば、経営者・採用担当者は社員が連れてきた優秀な候補者を口説いたり、社員が紹介したいと思える良い会社作りに集中できる。そのような社会を、私たちは「Refcome」で実現するつもりです。
すでに、大手企業数社の導入も決定している「Refcome」。時代は新たな人事採用へと、向かい始めているようだ。
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