・特殊な電気フィールドがサメを遠ざける
西オーストラリア大学のRyan Kempster氏らを中心とするチームが、「電気フィールドを張ることで、90%サメの攻撃を回避する」というサメへの対抗策を研究している。
その名も「Shark ShieldTM」。低周波の特殊な電気パルスが電気フィールドを生み出し、これがサメをひるませるのだという。立体カメラを採用することで、サメとの距離を正確に計測する。
・足首やサーフボードに装着して使う
「Shark ShieldTM」は、アンクレットのように足首に付けたり、サーフボードのテール部分に装着する。水に沈められると、2つの電極が3次元の電気フィールドを生み出し、動物の超感覚の電気受容体を過剰反応させるのだという。
数メートル以内にサメが近づくと、そのサメの筋肉がけいれんを起こし、非常に強い不快感を与え、その場から退散させるという仕組みだ。
・実験では10回中9回成功
チームでは南アフリカの海で実験を実施した。サメのエサを入れたキャニスターを使って、サメをおびき寄せ、「Shark ShieldTM」の効果を確かめた。
その結果、322匹のサメに遭遇し、そのうち41匹がホオジロザメだった。システムが半径1.3メートルの電気フィールドを発生させ、最初の接近時には10回中10回、ホオジロザメを遠ざけることに成功。
ただ、ホオジロザメには学習機能があるらしく、同じサメが再接近してきた場合、10回中9回に成功率は下がった。また、電気フィールドの有効範囲は、その度ごとに平均12センチメートルほど縮小した。
1990年代からいわゆる「Shark ShieldTM」的な技術は研究されてきたものの、今回の信頼性の高い実験と分析により、その効果が証明されたかたちだ。
・海水浴客、ダイバーを守る
WA State Governmentからの出資を受けて進められたこの研究は、もちろん100%の成功率を維持できるわけではないが、既存の似たようなうたい文句の“サメ避け”技術と比べても、かなりの有効性があり、海水浴客やダイバーのサメによる事故を防ぐことにつながる可能性を秘めている。
楽しい夏を満喫するためにも、海難事故に気をつけたい。
Shark ShieldTM