ただ一緒に人が住むだけでなく、共通の趣味や目的を持った人が一緒に住むコンセプト型シェアハウスが増え、ライフスタイルの一つとして認知が広がっている。
コンセプト型シェアハウスの創成期から起業家に特化したシェアハウスを運営し、シングルマザーや英語特化型、東大合格シェアハウスなど様々なプロデュースを行っているのが彩ファクトリーの内野匡裕氏だ。
Techableでは内野氏にインタビューを敢行。様々な起業家を見てきた内野氏に事業や起業について話を聞いてみた。
・外国人と仲良くなって英語を勉強したかったのが起業のきっかけ
Q1:事業に乗り出したきっかけを教えてください。
ちょうど10年前、当時私は外資系IT企業の会社員だったので、海外出張、海外赴任が当たり前の環境で、早急に英語を身につけたかったんです。ただ、仕事が忙しくて、夜10時過ぎとかに通える英会話スクールが見つけられなかったんですよ。だったら外国人と友達になればいいと考え、2LDKの部屋にルームシェア掲示板を使って外国時を募集したところ、当時ゲストハウスというものを見つけて、それがシェアハウスの原型のようなものだったんです。40人の住人のうち半分が外国人という環境だったので「多くの人と話せるのなら僕がルームシェアハウスに住んだ方がいい」と考えて転居したのがきっかけです。
数年間過ごしてみて「国籍、文化、年代、職種などなど、人は自分と違った存在と触れ合うことによって、たくさんのアイディアを得る」ことに気づきました。また自分自身その気づきの連続によって、起業したり、自分らしいライフスタイルをつくったり、他人との接し方が変わったり、人生が変わる程の影響を頂きました。そんなシェアハウスのプラスの要素をたくさんの方に味わってもらうために「デザイナーズでオシャレに」「コンセプトで目的を明確に」などこれまでシェアハウスに関心のなかった方や抵抗感のある方にも「魅力的な次世代の住み方」と映ってもらえるようなコンセプトシェアハウスの事業を立ち上げたいと思い、起業に踏み切りました。
・アイディアには価値はない!?
Q2:起業家シェアハウスを運営して今までに様々な人を見てきたと思います。成功する人、しない人の特徴を教えてください。
今まで100名以上の起業家が起業家シェアハウスにお住まい頂き、学生起業しようという20代から60代のベテラン経営者まで、非常に幅広い起業家と出会わせて頂きました。その中で大きく事業の成否が分かれるポイントはこちらの3つだと思います。
1.「誰に何を」がしっかりしている「スパルタ型で結果が出るまでダイエットを支援すると、絶対に痩せたい本気の人はものすごく喜んでくれる」というように「誰に」というターゲットと「何を」というコンテンツがしっかりリンクしていて、お客様側の目線で追究できているケースはうまくいくことが多いです。いわゆるお客様の立場になってとことん考えられているかですね。お客さんも本当に喜んでくれるものであれば、喜んでお金を支払ってくれますもんね。
2.改善速度への意識が高い「機密なので誰にも話さない」というスタンスではなく「アイディアには価値はない。人に話して、自分でも見つけられない穴やヒントを早く収集して、誰よりも早く完成形にもっていくんだ」というスタンスで人にどんどん話してフィードバックを集めようという姿勢の方も成功しています。起業家シェアハウスには40名もいろいろな国籍、業種、職種の起業家がいますので、みんなにプレゼンして、意見を収集するだけでも、ものすごく多様な意見が返ってきて、自分の常識とは全然違った角度からの気づきをもらえたりするのです。この環境を活用して「早くダメ出ししてもらって、お金をかける前に穴はふさぐ」を意識している方は成功しやすいですね。
3.事業への情熱や性格が誠実で、その事業にまっすぐな情熱をもって真摯に努力し、仲間やお客様に思いやりの気持ちを持てている人は、その姿勢によって仲間やパートナーや応援者を得やすい傾向にあります。お客様からも信頼されやすいため、成功もしやすいと思いますよ。起業家シェアハウスでも多くの起業家同士のコラボレーション事業が生まれましたが「暮らしぶりが見えるくらい距離が近かったので、人となりがよくわかって、この人なら誠実に最後までやり遂げてくれるって思えたので一緒にやり始めることができた」と聞きました。
・年商4000万円の事業も誕生!
Q3:起業家シェアハウスを作り、どのような事業が生まれましたか?事業が生まれて面白かった瞬間などがあれば教えてください。
東京のシェアハウスで一番成功している村上さんは、起業家するために大阪から一念発起して東京にやってきました。会社を立ち上げ、動画制作の事業を立ち上げ、思ったよりも伸び悩んでいた時に「どうピボットしたら面白くなるか?」とアイディアを求め、深夜までディスカッションしていたところ、ほかの入居者からでてきたアイディアがパラパラ漫画だったんですよ。ウェディングであったり、会社の経営者の苦労話などをパラパラ漫画にするといったアイディアでした。そういった写真に残っていないような瞬間を人に動画として伝えることをBtoBでやっている会社がなかったので、すぐにヒットして、2年で年商4000万円の事業になりました。
起業家向けシェアハウスは東京都と京都で運営していて、京都のシェアハウスはまだオープンしたばかりですが、年商50億稼いでいて、観光業で事業を大きくしたベテラン経営者の人が住んいるんですよ。世界一周をしたのち、京都でゲストハウスを立ち上げたいという若者も住んでいます。その2人でタッグを組んで、京都の町家が空き家になっている問題を解決しながら、外国人が泊まれる宿の運営をスタートし1泊3万円以上で3か月先まで予約で埋まっている超人気物件となりました。日本人にとって古い建物は当たり前なんですが、外国人にとってそういった宿はとても珍しく映るらしいんです。
Techableでは内野氏が自身の経験から生まれた第2弾の事業のインタビューも公開予定。こうご期待。
(取材・文 テッペートダ)
株式会社彩ファクトリー | コンセプト型シェアハウスの企画・運営