近年、世界中の珊瑚礁が壊滅的状況に晒されている。先日、世界最大の珊瑚礁で知られる豪グレート・バリア・リーフにおいて前例のない珊瑚の大量死が確認されたのを受け、豪政府によって緊急の対策が講じられた。
今回、世界中の海底に広がる珊瑚礁を危機から救うべく登場したのが、「Scubo(スキューボ)」だ。
・遠隔操作で自由自在に動く
珊瑚の苗を育て、海底に珊瑚を植え付けることこそ、珊瑚の絶滅を阻止する唯一の手段であると考えるスイスのチューリッヒ工科大学自動システム研究グループの学生メンバーら。
2015年にプロジェクトを発足し、その第一弾として開発したのが、ダイバー目線の海底用ロボット「Scubo」である。
コンピュータへの接続と同時に、遠隔操作で動く「Scubo」。基本的に、全方向への移動が可能であり、狭い空間内を動き回ることもできる。
・珊瑚を全方向から撮影可能
海底を泳ぎ回るこのロボットは、電力が蓄えられる中心ユニットおよびダクト、浮力やバランスを調整する8本のスラスター、最上部を除く側面に取り付けられたモジュラーポート、その他センサー、カメラ、光源によって構成されている。
カメラは6方向の外壁に搭載。一瞬にしてさまざまな角度から珊瑚を補捉可能である。
底部に取り付けられたステレオカメラが下方を向くと、ロボットの目の前にある対象物の距離を概算しつつ、海底の地図が生成される。
・VRで海中の世界を体験
「Scubo」を通じて、さまざまな楽しみ方ができる。例えば、海中のヴァーチャルリアリティ体験はそのひとつだ。
ディズニー社の研究部門、Disney Research社も「Scubo」製作プロジェクトに関与しているが、ファンタジーな世界観をもって子供たちを魅了し続けるディズニー社ならではの発想と言えよう。
VRメガネを装着すれば、もはや海の生物の仲間入りだ。海面下で海中生物の群れをかいくぐりながら泳ぎ回っているかのような気分になれる。
Scubo