前回は新プログラムの詳しい内容についてお伝えした。今回は現在、ニューヨークに本社、韓国、ドイツ、東京に拠点を置き、全世界累計4500万ダウンロードを誇るNoomの国際戦略についてお届けする。
インタビューに応えてくれたのは、Noom Japan、ブランドマネージャーの渡辺玲(わたなべれい)氏。
・減量や行動変容を起こす上での課題はユニバーサルである
Q1、「Noom」は世界各国にユーザーがいますが、各国の傾向というのはありますか?また、アプリの傾向からわかる国民性のようなものがあれば教えて下さい。
アジアのユーザーの方が欧米のユーザーに比べて女性の割合が高く、年齢も20代から30代と若めです。各国の健康事情もあって平均減量数はアジアよりも欧米のほうが高いです。これは、アジア人がもともと平均BMIが欧米よりも低いのと、アジア人のアプリのユースケースが、美を意識した「クイック・フィックス」という、すぐに結果を出したいダイエットやちょっと太ってきたときの対応策として使われていることが多いためだと考えられます。
特に国によってユーザーの継続率や利用具合が著しく異なるということはなく、むしろ減量や行動変容を起こす上での課題はユニバーサルであるといえます。そういった理由からNoomの開発するアプリやカリキュラムのUXは全世界共通のものを採用しています。
・国別の食文化や慣習への考慮を含めたローカライズ
Q2、世界各国でコーチングのマニュアルに共通する部分はありますか?違う部分も教えてください。
Noom のコーチは、臨床心理士や医師を中心に設計された独自のカリキュラムについてコーチングを行えるよう、全員が指導を受けています。お客様の行動変容を起こすために、継続を維持する心理的なコミュニケーションを学びます。そのうえで、各国の文化的背景にあった介入指導を行っています。日本向けには、日本人の特性にあわせ、お一人ひとりのお客様の性格や個性を尊重したサポートを行うようにしています。
カリキュラムは国別の食文化や慣習への考慮を含めてローカライズしているので、それに合わせてコーチングを行っていきます。お客様に実際に使っていただきながらコーチングの内容も育んでいきたいと思っています。
・元のカリキュラムとの軸がぶれないよう、身近で面白く実践的な内容に
Q3、ローカライズにあたり苦労されたことはありますか?また工夫したことを教えてください。
カリキュラムは、アメリカ生まれです。4ヶ月間毎日配信される対話型教材のことばの表現を日本に合わせたり、栄養士の監修のもと推奨されている食品を日本向けに変更しました。文章量は膨大なものなのですが、コピーライターも含め、ひとつひとつ編集に編集をかさね、元のカリキュラムとの軸がぶれないようにしながらも日本の皆さんにとって身近で面白く、実践的な内容になるよう力を入れました。
Q4、今後の国際戦略について、教えてください。
現在展開している言語の、英語、韓国語、日本語、スペイン語、ドイツ語、と国に引き続きフォーカスし、B2CとB2Bの両面で努力していきます。進化したアプリとプログラムについての戦略を各国の市場ニーズにあわせた形で展開します。
・次世代の健康経営を担うソリューションとして心身の健康をサポートを目指す
Q5、今後の他社との提携や、新たなサービスアップデートの予定などを教えてください。
今後、弊社と同じように健康や減量に気を使うお客様のいらっしゃる企業とのパートナーシップを積極的に行ってまいります。アプリの特徴のひとつであるグループを活用することで、地域やお客様の悩みにあわせたサービスをお届けできるようにしていきます。
また、次世代の健康経営を担うソリューションとして心身の健康をサポートしていきます。特定保健指導など日本のガイドラインにあわせながら、生活習慣病予備軍に対しての提供を行っていきます。
Noomでは、各国のチームが国別の文化的背景、ライフスタイルにあわせ徹底的なローカライズを行なっている。スペイン語向けのローカライズだと、スパニッシュの人々はズンバが大好きなので、プログラムの中でもなにかとズンバの例を使うという。ユーザーに真摯に寄り添う丁寧な姿勢がグローバルでの成功の秘訣といえそうだ。
インタビューは全3回に分かれており、最終回の次回は、月額5000円というモバイルアプリでは前例のない値付け理由について迫る。
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